
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は11日(現地時間)、「パレスチナ国家は今後決して存在しない」と宣言し、東エルサレムとヨルダン川西岸を事実上分断する「E1入植地建設」の加速に関する合意書に署名した。この計画は、国内外で物議を醸している。
中国国営通信『新華社』がイスラエルメディアの報道を引用して伝えたところによると、ネタニヤフ首相は入植地の早期建設に向けた合意書に署名した。国際社会はこの計画について、パレスチナ国家の樹立を阻む恐れがあるとして長年反対してきた。
建設予定地はエルサレム旧市街の東側と、既存のマアレ・アドゥンミーム入植地の間に位置する。計画が進めば、東エルサレムはヨルダン川西岸北部から完全に切り離され、将来的にパレスチナ国家が樹立された際にエルサレムが孤立する可能性があることから、国際社会の強い反発を招いている。
E1入植地建設計画は1990年代に初めて打ち出されたものの、国内外の強い反発を受けて長らく凍結されていた。その後、2012年にネタニヤフ首相が計画を復活させ、2020年の選挙前には公約として改めて推進を打ち出した。
ネタニヤフ首相は11日、ヨルダン川西岸最大の入植地マアレ・アドゥンミームを訪問し、市当局者とともに急速推進に向けた合意書に署名した。記念式典では「パレスチナ国家が樹立されることは決してない。この土地は我々のものだ」と宣言した。
イスラエル住宅建設省によると、政府は同地域の開発に約9億ドル(約1,330億円)を投じ、計7,600戸の住宅建設を計画。そのうち3,400戸がE1入植地に割り当てられるという。
昨年8月に建築許可が下りた際には、極右派のベザレル・スモトリッチ財務相が「E1入植地の建設許可は、パレスチナ国家樹立計画を葬り去ることを意味する」と述べ、この事業がパレスチナ国家建設を物理的に阻止する意図を持つものであることを公然と認めていた。
ネタニヤフ首相の今回の決定により、2023年10月のガザ戦争以降、暴力と戦闘が激化しているヨルダン川西岸では、今後さらに緊張と衝突が高まるとみられる。ガザ保健省によれば、イスラエルはガザでこれまでに6万4千人以上を殺害し、全地域を壊滅状態に追い込んでいる。さらに救援物資の封鎖による大規模な飢餓作戦も続いているという。
現在、ヨルダン川西岸と東エルサレムには約72万人のイスラエル入植者が定住している。この地域は1967年の中東戦争時でイスラエルが不法占拠したもので、本来は約330万人のパレスチナ人が暮らしていた。
国際法上、イスラエルの占領と入植地建設は違法とされており、国際司法裁判所(ICJ)も2024年に改めて違法との判断を下している。パレスチナ人と国際社会は、ヨルダン川西岸での不法入植が中東和平の最大の障害になっていると指摘している。
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