
米政府系金融機関の「国際開発金融公社(DFC)」が17日(現地時間)、ウクライナの鉱物開発基金に7,500万ドル(約110億円)を投資する方針を明らかにしたと、米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』が報じた。
今回の投資は、昨年春に締結されたウクライナ鉱物共同開発に関する合意に基づくもの。戦争が続く状況を踏まえ、米国が実際に投資をする可能性は低いとの見方が強かったが、DFCの投資発表を受け、ウクライナ政府も同額を拠出する見通しとなった。これにより、1億5,000万ドル(約220億円)規模の共同基金が設立される。
DFCのコナー・コールマン投資責任者は声明で「初期投資を通じて民間部門のウクライナ投資を促進し、重要インフラの再建や天然資源の開発、両国の経済繁栄の実現を目指す」と強調した。米政府の投資は、ウクライナが戦時下で経済を維持するうえで必要な資本を引き寄せる効果が期待されている。
ウクライナのユリヤ・スヴィリデンコ首相は声明で「米国の投資は、ウクライナと国内の米国企業すべての安全を保証するものだ」と述べた。
基金は米国とウクライナが共同で所有し、米国が一定の管理権を持つ。今月には、基金の理事会を主導する機関としてDFCが指名されている。
今回発表された1億5,000万ドル規模の基金は初期資本として機能し、追加の拠出は主にウクライナ側が担う見通しだ。合意によれば、ウクライナ政府は鉱物採掘やライセンス販売から得られる収益の半分を基金に投入する。
基金が生み出した利益はウクライナ経済に再投資される一方、米国も一部を受け取ることになっている。ドナルド・トランプ米大統領は、これを「米国の支援に対する返済」と位置づけてきた。
ウクライナ政府は、共同基金を通じてリチウム、グラファイト、チタンの埋蔵地を開発するプロジェクトを米国側に提案した。
先週には、同国最大級のリチウム埋蔵地であるドブラリチウム鉱山で初の入札が正式に開始され、米政府が一部株式を保有するエネルギー投資会社「テックメット」が参加の意向を示した。
一方、専門家らはウクライナにおける鉱物採掘の実現には依然として多くの課題があると指摘する。探査の難しさに加え、ロシア軍が地下資源の埋蔵地に着実に迫っていることが懸念されるためだ。実際、ロシア軍は7月に東部ドネツク州のリチウム埋蔵地を占拠している。
さらに最近では、ウクライナ西部にある米国企業の工場など西側資産への攻撃が相次いでおり、民間事業者のウクライナ投資を妨害する意図があるとの見方も出ている。
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