中国、希土類に続き大豆も武器化…米国農家に直撃

中国がレアアース輸出に続き、大豆輸入を武器化し、米国への圧力を強めている。中国は米国との貿易摩擦以降、大豆の輸入先をブラジルに切り替えており、米国農家では輸出できない大豆の在庫が積み上がり、一部農家は破産の危機に追い込まれているという。
英紙フィナンシャル・タイムズが27日(現地時間)に報じたところによると、9月1日から始まった2025年から2026年度の新しい輸出シーズンにおいて、中国向けの米国産大豆の契約は1件も成立していないという。1年前の同時期に650万トンが出荷予約されていたのとは対照的な状況となっている。
長年にわたり中国は米国産大豆の最大の輸入先であり、全輸出量の半分以上を占めてきた。しかし米中貿易交渉が行き詰まる中、今年は米国産を避け、代わりにブラジル産を大量に購入している。ブラジルは今年1月から8月に6,600万トンの大豆を中国へ輸出し、過去最高を更新した。これはブラジル全体の大豆輸出量の75%に達する。
一方、米国の農家では秋の収穫期と重なり大豆在庫が山積みとなっている。肥料など主要農資材の価格は関税の影響で高騰する一方、大豆価格は下落しており、農家の経営を直撃している。
フィナンシャル・タイムズは、大豆の副産物が家畜飼料やバイオ燃料、工業用原材料など幅広く利用されているものの、輸出市場の崩壊が農家の財政難につながっていると指摘した。
ドナルド・トランプ米大統領は事態が支持基盤の離反に直結しかねないとみて、対策に乗り出した。
トランプ大統領は前日、ホワイトハウスで「関税収入の一部を、関税の効果が出るまで打撃を受ける農家に支給する」と述べ、緊急支援の実施を示唆した。
しかし、米国大豆協会の主席エコノミストであるスコット・ゲルト氏は、こうした対策の限界は明白だと指摘した。ゲルト氏は「緊急資金支援は短期的には助けになるが、他国(競合国)の拡大による恒久的な市場シェアの喪失は防げない」と批判した。
実際、トランプ政権1期目の貿易戦争時にも中国は輸入先を米国からブラジルに切り替えており、その際に失った20%の市場シェアを米国は今も取り戻せていないという。
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