
ロシア軍は28日(現地時間)、ウクライナ全土に対して夜間の大規模空爆を実施した。これは戦争開始以降、最大規模の攻撃であり、相次ぐロシアの領空侵犯によって欧州の安全保障上の緊張が高まる中で行われた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ロシア軍は27日夜から翌28日未明にかけて、ウクライナ全土に約600機のドローンと数十発のミサイルを撃ち込んだという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はSNS「X」で、今回の攻撃により少なくとも4人が死亡し、40人が負傷したと明らかにした。ゼレンスキー大統領は「この卑劣な攻撃は、国連総会の会期が事実上終了する時期に合わせて行われた」と指摘し、「モスクワは戦いと殺戮をやめようとしない。国際社会はさらに強力な圧力を加えるべきだ」と訴えた。
今回の夜間空爆はウクライナ全土の都市を標的としたもので、航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、ポーランドはウクライナ国境近くの複数都市上空を閉鎖した。
今回の攻撃は、ロシアと欧州諸国との間で戦争の緊張が高まる中で行われた。今月初めには、ロシアのドローン19機がポーランド領空に侵入し、またロシア軍戦闘機1機がエストニア領空を侵犯した。これを受けて各国は北大西洋条約機構(NATO)条約第4条を発動した。軍事専門家らは「ロシアがNATOの防衛態勢を試す狙いがある」と分析している。
ロシア側は領空侵犯を否定しているものの、欧州各国ではロシアの関与を排除できないとする警戒感が強まり、戦闘機の撃墜を含む強硬対応を求める声も上がっている。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、先週ニューヨークで開かれた国連総会の関連行事で「NATOとEUは事実上、我々の国に戦争を宣言し、すでに直接関与している」と発言した。
また、元NATO大使でハーバード大学研究員のアイヴォ・ダールダー氏は、欧州政治専門誌「ポリティコ・ヨーロッパ」への寄稿で「ウクライナ戦争はロシアと欧州との戦争の一部に過ぎない」と述べ、ロシアの領空侵犯は「欧米の分断を狙い、欧州のウクライナ支援を断ち切ろうとする試みだ」と指摘した。
ダールダー氏はさらに「ロシアはトラでンプ大統領復帰で米国の対ウクライナ支援が弱まると見ていたが、欧州はむしろウクライナ支援を強化し、結束を維持している」と強調した。ダールダー氏は「欧州は望むと望まざるとに関わらず、ロシアとの事実上の戦争状態にあり、各国首脳は一層強硬な姿勢を取っている」と述べた。
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