
北大西洋条約機構(NATO)は、相次ぐ正体不明のドローンの出現に対し、バルト海での警戒作戦を強化すると発表した。
ガーディアンなどによると、NATOは現地時間27日、バルト海地域に新たな多領域資産を配備して警戒を強化すると述べ、そこには情報・監視偵察プラットフォームと少なくとも1隻の防空護衛艦が含まれると明らかにした。
NATOは今年1月に「バルティック・セントリー(Baltic Sentry)」を立ち上げ、バルト海の海底にある電線、通信網、ガスパイプラインなどの重要インフラの保護活動を開始した。ガーディアン紙は、今回の発表は、これに加えて防空能力を強化する動きだと補足した。
ただし、防空護衛艦など新たに投入される資産をどの加盟国が提供するかは明らかにされていない。
最近、デンマーク、ノルウェー、ドイツなどバルト海沿岸国の領空で、正体不明のドローンが連日発見されている。
今月中旬には、ロシアのドローンがポーランドとルーマニアの領空を立て続けに侵犯し、東欧での緊張が高まっていたが、今や前線はバルト海沿岸にまで北上している。
デンマークの公共放送DRによると、26日午後8時頃、カルップ空軍基地上空でドローンが発見された。同日、デンマークと国境を接するドイツ北部シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州上空でも正体不明のドローンが捕捉された。ノルウェー空軍のF-35基地があるエーランド地域上空でも、身元不明のドローンが少なくとも2機、約1時間にわたって飛行していた。
22日には、デンマークのコペンハーゲン空港とノルウェーのオスロ空港が不明ドローンが発見されたことにより一時閉鎖され、その後24~25日にもデンマークの4つの空港上空でドローンが同時多発的に捕捉された。26日にはリトアニアのヴィリニュス空港で、運航が一時中断された。
バルト海沿岸諸国は、自国領空に侵入したドローンを撃墜したり、ロシアの仕業と断定したりはしていない。ただし、事実上ロシアの脅威を想定した対応強化に乗り出している。
ドローンが集中的に発見されているデンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、欧州の安全保障を脅かす主要国はロシアだと強調。ペーター・フンメルゴー法務大臣は、ドローンを撃墜できる法案を提出する意向を示した。
ガーディアン紙は、ドローン攻撃の有力容疑者はロシアだとし、デンマークがロシアの脅威に対抗するため、初めて長距離精密兵器を獲得したと発表してから数日後にドローンの飛行が始まったと指摘した。
ドイツのアレクサンダー・ドブリント内相も27日、ドローンの脅威が高水準にあるとし、特定条件下で連邦軍がドローンを撃墜することを許可する方策を検討していると明らかにした。
欧州連合(EU)は来週、デンマークのコペンハーゲンで首脳級会議を開き、ドローン防衛を含む欧州の安全保障強化策を協議する予定だ。
26日に開かれたアンドリウス・クビリウスEU国防担当執行委員主催のオンライン会議でも「ドローン・バリア」が議論され、ルーマニア、ブルガリア、スロバキア、ウクライナなど東欧諸国が多数参加した。
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