
米国のドナルド・トランプ大統領がウクライナによるロシア本土攻撃可能な長距離ミサイル使用を許可したとの報道が出た。フォックス・ニュースは29日(現地時間)、キース・ケロッグ特使(ウクライナ担当)の発言を引用し、トランプ大統領がロシアに対する長距離ミサイル使用を事実上許可したと報じた。
トランプ大統領は先月の15日、アラスカでロシアのウラジーミル・プーチン大統領との「丁重な」首脳会談を開催するなど、終戦交渉の妥結に向けて尽力してきた。しかし、その後ロシアがミサイルとドローン(無人機)を使用してウクライナへの攻撃を強化するなど、交渉ムードとはかけ離れた動きを見せている。
これを受け、トランプ大統領はプーチン大統領への失望から対ロシア強硬発言を続けている。先週には、ウクライナが失った領土を回復し、ロシアの領土の一部さえ獲得できるのではないかとの発言もあった。現状とかけ離れた発言であり、その背景に注目が集まっている。終戦交渉が停滞する中、今回のトランプ大統領の発言がロシアに対する新たな軍事的圧力手段になるか注目される。
ケロッグ特使は、トランプ政権がウクライナ政府に特定の状況下でロシア国内の標的に対する長距離攻撃を許可したかとの質問に、「大統領、副大統領、国務長官の発言を見れば、答えは『イエス(Yes)』だ。深部まで攻撃する能力を使えということだ。(ロシア側に)安全な場所はない」と述べた。
トランプ大統領が明示的にウクライナの長距離ミサイル使用を承認したのか、それとも使用可能性を示唆したのかは不明確だが、ウクライナ側に戦略的必要性がある場合、長距離ミサイルでロシア本土の標的を攻撃することに反対しないという意図と解釈できる。これはこれまでの曖昧な立場から一歩踏み込んだものと見られる。
前日、ケロッグ特使のこの発言が放送される前に米国のJD・ヴァンス副大統領もトランプ大統領がウクライナのトマホーク長距離巡航ミサイル要請を検討中だと明かしていた。彼はフォックス・ニュースのインタビューで、長距離精密攻撃が可能なミサイルのウクライナ支援を検討中だとし、トマホーク提供の最終決定はトランプ大統領が下すと述べた。
米国のトマホークミサイルは射程2,500kmに達する巡航ミサイルで、最高速度時速885kmで飛行し、目標を精密攻撃する。ウクライナから発射すれば、ロシアの首都モスクワまで射程に入る。ウクライナはこれまで米国に対し、長距離ミサイルの支援と使用承認を粘り強く要求してきた。
最近では、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が国際連合総会出席のため訪米した際、23日(現地時間)にトランプ大統領との会談でトマホーク支援を要請したとの報道があった。トランプ政権は紛争拡大の可能性と終戦交渉に与える影響などにより、これまでウクライナにロシア本土を攻撃できる武器を提供したり、使用を承認したりすることに非常に消極的だった。
しかし、ロシアとの終戦交渉が突破口を見出せないまま停滞する中、トランプ大統領がプーチン大統領に対する失望感を公に表明するなど、米国のウクライナ戦争とプーチン大統領に対する態度が変化しつつある時期だけに注目される。
ウクライナがこれまで執拗に要求してきた米国製トマホーク巡航ミサイルや、射程500kmに達する欧州製タウルス空対地巡航ミサイルが実際に提供されれば、ウクライナはより強力な抑止力を獲得する可能性がある。
ロシアは、ウクライナの長距離ミサイルが戦況を変えることはないと主張した。クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は同日のブリーフィングで「戦線の状況を一変させる魔法の武器など存在しない」とし、「トマホークであれ他のミサイルであれ、状況を変えることはできない」と述べたとAFP通信が伝えた。
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