
中国は高速データ処理技術を駆使し、ミサイル1,000発を同時追跡可能な「中国版ゴールデンドーム」の開発に成功した。これに対し、米国のドナルド・トランプ大統領は今年5月、2029年までに1,750億ドル(約25兆8,921億円)を投じて、中国やロシアのミサイル攻撃を防ぐ「ゴールデンドーム」構想を発表していたが、中国は米国よりもはるかに早く試作品を公開し、技術力の飛躍を示した。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は9月30日、世界初の全地球ミサイル防衛システム「分散型早期警戒探知ビッグデータプラットフォーム(distributed early warning detection big data platform)」の試作品が中国人民解放軍に配備されたと報じた。このシステムは、世界中のどこからでも中国に向けて発射されたミサイル1,000発を同時に探知できるとされる。
南京電子技術研究所の首席エンジニアであるLi Xudong氏が開発した「中国版ゴールデンドーム」は、米国が構想段階にあるのとは異なり、防空網をすでに実用化したと評価されている。Li氏はこのシステムを中国の古代神話に登場する名弓の名前に因んで「后羿」と名付けた。中国は「后羿」が全地球規模の範囲を網羅する初のミサイル防衛システムであると強調している。
中国側は自国の防御システムについて、宇宙、海、空、地上の様々なセンサーで潜在的な脅威を識別し、飛行軌道、武器の種類、囮の有無などの情報をリアルタイムで収集すると説明した。中国の軍事専門家らは、米国の製造能力低下により超音速ミサイル、高出力レーザー兵器、第6世代戦闘機、空母搭載型ステルス機などの新兵器の生産が遅れている一方で、中国は急速な技術進歩を遂げていると強調した。
Li氏は中国の学術誌「Modern Radar」で「人工知能(AI)を基盤としたレーダー技術は探知装置ではなく、戦略的情報分析プラットフォームとして使用される」と述べ、「指揮官はこのプラットフォームを基に迅速な意思決定を行い、戦術的優位を確保できる」と主張した。
中国は9月3日、北京天安門広場で行われた戦勝節80周年閲兵式で6種類の迎撃ミサイルを公開し、米国の「ゴールデンドーム」に対抗する防御能力を誇示した。当日、中国人民解放軍は中距離地対空ミサイルシステムHQ-11、HQ-20、HQ-22Aと、弾道ミサイル迎撃システムHQ-9C、HQ-19、HQ-29で構成される編隊を披露した。中距離地対空ミサイルは航空機、ドローン、巡航ミサイルを防御する「下層防御網」を形成し、移動発射が可能なHQ-29などは「上層防御網」の役割を果たすと分析されている。
コメント0