
米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表は、最高裁が年末に一部の関税を違法と判断した場合でも、米国は貿易相手国に対する関税賦課を継続する方針を示した。
フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、グリア代表は9月30日(現地時間)、ニューヨークでの演説において「我々はこの訴訟に非常に自信を持っている」と述べ、「裁判所は大統領の緊急事態判断及び関連法に基づく関税賦課権限を尊重するだろう」と語った。さらに、万一敗訴した場合でも「他の法的手段を通じて関税を維持する」と強調した。
米最高裁は11月第1週に、米国のドナルド・トランプ大統領が緊急権限を行使して課した関税措置に関して、企業が提起した訴訟を審理する予定である。これに先立ちトランプ大統領は、1977年制定の「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づき、数十年にわたる貿易赤字を国家経済の非常事態と位置付け、これを是正するための関税政策を推進した。これに対し、5人の小規模事業者と民主党主導の12州は、この措置が大統領の法的権限を逸脱しているとして訴訟を起こし、トランプ政権の関税政策は法的異議に直面している。
グリア代表は「最高裁の判断の如何にかかわらず、貿易はすでにそのような枠組みで運営されている」と述べ、関税が今後も「政策環境の一部として存続する」との見解を示した。また、8月から課された相互主義的な関税が、「今後の貿易秩序を規定する新たな枠組み」になると述べた。
グリア代表は、最高裁が緊急権限の行使を違法と判断した場合の行政の具体的な代替案については明らかにしなかったが、過去に米国が関税賦課に用いた1974年通商法301条及び1962年通商拡大法232条に言及した。トランプ政権はすでにこれらの条項を活用し、自動車、鉄鋼、アルミニウム、銅、木材などに関税を課してきた。さらに、行政は現在、医薬品、半導体、航空宇宙部品、ドローン(無人機)などの追加品目に関する調査も進めており、これらも今後、追加の関税措置に繋がる可能性がある。
今回の審理は、連邦巡回区控訴裁判所がトランプ大統領のIEEPA利用による関税賦課を違法とした下級審の判断を支持した後に行われる。ホワイトハウスは最高裁に迅速な審理を要請している。もし最高裁が緊急経済法に基づく相互関税を違法と判断した場合、過去6か月間混乱が続いた世界貿易秩序の中で、米国の通商政策の不確実性はさらに高まる見通しである。
コメント0