民間騒乱の鎮圧に即応部隊を新設
「気に入らなければ出て行け。ただし階級も終わりだ」という皮肉も

ドナルド・トランプ米大統領は、民主党が支配する州の都市に軍をより広範に投入する考えを示し、これを「内部からの戦争」と表現した。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、トランプ大統領は30日(現地時間)、バージニア州クアンティコ海兵隊基地での演説で「急進左派の民主党が運営するサンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスといった都市は非常に危険だ」と述べた。
トランプ大統領は、世界中から集められた軍高官約800人を前に「一つひとつ正していく。ここにいる人々の一部には大きな任務となるだろう。これもまた戦争であり、内部からの戦争だ」と強調した。
さらに「我々の歴史は外敵と内敵、あらゆる敵と戦ってきた軍の英雄で満ちている。多くの指導者は平和維持のため軍を活用してきたが、今になって軍の使用を禁じる者たちがいる」と不満を示した。
また「一部の危険な都市や訓練場を軍が利用すべきだ」と述べ、民間騒乱の鎮圧を目的とする「即応部隊」の創設を命じたと明らかにした。
そして「我々は内部から侵攻されている。制服を着ていない分、むしろ外敵よりも対処が難しい脅威だ」とも付け加えた。
こうした発言は、連邦軍の国内治安維持や法執行を厳しく禁じる「ポッセ・コミタタス法」に抵触する恐れがあると指摘されている。

米CNNによると、演説冒頭でトランプ大統領は「拍手したいならすればいい。私の言葉が気に入らないなら部屋を出ろ。ただしその瞬間、君の階級も未来も終わりだ」と発言した。軍の将官たちは政治的中立を守る伝統に従い拍手を控えていたが、同局は「軍指導部が政治的圧力に直面している」と分析した。
トランプ第2次政権は、政治的課題の解決に軍をたびたび動員し「軍の政治化」を進めているとの批判が根強い。今回の演説はその頂点に達したとの懸念も広がっている。
実際、6月には移民取り締まりを名目にロサンゼルスへ州兵2,000人と海兵隊700人を派遣し、8月にはワシントンDCでの犯罪抑止を理由に州兵を投入した。
さらに同6月、ノースカロライナ州フォート・リバティ基地での演説では、兵士たちにジョー・バイデン前大統領に対し野次を送るよう求めたこともあった。
一方で、軍内部の異論を封じ込める動きも見られる。移民の無差別摘発に対し連邦裁判所が制限を命じた際、イラク戦争の従軍経験を持つ州兵のスコット・シャーマン少将が軍の動員作戦に公然と異議を唱えた。
これに対し、作戦を指揮した国土安全保障省のグレゴリー・ボビーノ国境警備隊エルセントロ支局長が、シャーマン少将の「国家への忠誠心」に疑念を抱き始めたと伝えられている。
コメント0