中国、台湾・周辺海域を狙い東部沿岸のミサイル基地を大規模に拡張
NYTが衛星写真を分析…発射台などの施設を増強しDF-17・DF-26を配備

中国は台湾およびその周辺海域を標的とし、東部沿岸のミサイル基地を大規模に拡張していると、ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。
NYTは衛星写真と専門家の分析に基づき、中国が近年、611・616ミサイル旅団などの基地規模を大幅に拡大し、東風(DF)-26やDF-17など次世代ミサイルを配備していると伝えている。
報道によれば、安徽省池州市にある611ミサイル旅団基地は近年、その規模が倍増している。
衛星写真では、2022年に樹木に覆われていた敷地に、2023年から新たな道路が敷設され、ミサイルの保管・整備施設が建設された様子が確認できる。
専門家らは、基地内の各所に新たなミサイル発射台や、ミサイル試験・訓練用の模擬トンネル、さらにはミサイル再装填区域と思われる施設が追加されたと見ている。
米非営利分析機関の海軍分析センター(CNA)に所属するデッカー・エバレス研究員は、611旅団基地について「非常に大規模な施設で、ほぼすべての作戦訓練を一貫して行える訓練施設だ」とNYTに説明した。
習近平国家主席は昨年10月、611旅団を視察し、ロケット軍の移動式ミサイル発射準備などを確認。その際、「危機意識を深め、戦闘精神を強化せよ」と指示した。
江西省贛州市にある616ミサイル旅団も急速に拡張されている。
2020年の衛星写真で農地として確認された区域が、新型コロナウイルスのパンデミックの最中にもかかわらず開墾・整地され、18カ月で新たな敷地へと生まれ変わった。
専門家らは、611旅団にはDF-26、616旅団にはDF-17が配備されていると見ている。

DF-26は、グアムに所在する米軍基地を攻撃可能な能力を有するため、「グアム・エクスプレス」や「グアムキラー」と呼ばれる中距離弾道ミサイルであり、核弾頭の搭載も可能である。
DF-17は、米軍のTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を無力化できるとされる中・短距離の極超音速ミサイルである。
米国防総省は、中国のロケット軍が過去4年間でミサイル備蓄をおよそ50%増加させ、現在約3,500基を保有していると推定しており、そのうちDF-26は約500基に達すると見積もっている。
東部沿岸に配備されているミサイル数、および台湾を標的にしているミサイル数は不明だが、NYTはミサイル旅団基地の拡張を、台湾を中国の支配下に置き、アジアで米国の影響力に対抗しようとする習近平国家主席の野望の核心と位置付けた。
米安全保障シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ」のジェニファー・カバナ上級研究員は、「ミサイルは中国が台湾に対して行うあらゆる強圧的軍事行動の出発点である」と述べ、「中国は圧倒的な数のミサイル保有を通じ、台湾に対して反撃しても無駄であり、米国が介入できないという政治的メッセージを発している」と指摘した。
コメント0