
米国がウクライナにロシア本土のエネルギー施設を標的とした長距離攻撃の情報提供を決定した。米トランプ政権が戦争拡大を懸念し自制してきた従来の方針を転換し、ウクライナの攻撃支援を示したことで、米国の対ロ政策に変化の兆しが見られる。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1日(現地時間)、トランプ大統領が米戦争省と情報機関にウクライナの攻撃支援を指示したと報じた。トランプ政権がロシアに対するウクライナの長距離ミサイル攻撃を支援するのは今回が初めてである。
ウクライナは、米国から提供される標的情報をもとに、国境から遠く離れた精製油施設、発電所、パイプラインなど、ロシアのエネルギーインフラをより効果的に攻撃できるようになる。ロシアは石油などのエネルギー輸出で戦費を賄っているため、これらの施設は主要な攻撃目標になっている。
米国は、長距離巡航ミサイルの「トマホーク」と「バラクーダ」をウクライナに供与する案も検討中である。単なる情報提供を超えて武器支援が実現すれば、ロシアの防空網を突破し、より大きな打撃を与えられるとの判断からである。ウクライナはこれまでにも米国にトマホークの供与を要請していた。射程2,500kmに及ぶトマホークは、ウクライナからモスクワを含むロシア本土の奥深くまで攻撃できる。
この動きは、ウクライナ戦争に対するトランプ大統領の姿勢の変化を示している。開戦以降、ウクライナはロシア本土を狙ったドローン(無人機)攻撃を実施してきたが、トランプ政権は戦争拡大を懸念して情報共有を制限してきた。また、ジョー・バイデン前政権時代に供与された射程300kmの戦術弾道ミサイル「ATACMS」の使用も中止されていた。ウクライナは発射のたびに米国の承認を必要としており、このため今年春以降、ロシア領内への攻撃は事実上封じられていた。
このような方針によりトランプ大統領は「親ロシア的」と批判されてきたが、最近では停戦交渉に消極的なロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対して批判的な態度を示している。トランプ大統領は先月24日の国際連合総会演説で「ロシアが停戦交渉に応じない場合、関税を課す」と警告し、欧州諸国にもロシア産エネルギーの購入中止を促した。
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