
欧州最大規模の単一施設であるウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所をめぐり、再び緊張が高まっている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は9月30日(現地時間)の演説で「ロシアが占拠するザポリージャ原発で1週間にわたり送電が途絶え、深刻な事態が生じる可能性がある」と述べ、「すでに7日が経過しており、過去に例のない事態だ。状況は極めて危険だ」と警鐘を鳴らした。
ゼレンスキー大統領はさらに「ロシアの砲撃で発電所につながる送電網が遮断され、現在は非常用ディーゼル発電機で電力を賄っている」と説明した。その上で「必要なバックアップ用ディーゼル発電機の1基が故障している」と明かした。特に「世界のいかなるテロリストも、ロシアが今行っているような行為を原発に対して実行したことはない。世界は沈黙してはならない」と強調した。

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長も事態を一部認めつつ、「ザポリージャ原発を送電網に速やかに再接続するため双方と連絡を取り続けている」と説明した。そのうえで「現在は非常用ディーゼル発電機によって対応できており、直ちに危険が生じる状況ではないが、持続可能な状態ではない」と指摘した。
ザポリージャ原発をめぐっては、開戦以来ロシアとウクライナ双方が互いに「相手がザポリージャ原発を攻撃して核災害を招く危険がある」と非難し合ってきた。最近も停電をめぐり責任の押し付け合いが続いている。

ザポリージャ原発は6基の原子炉を有する欧州最大の原子力発電所で、ウクライナ南東部ザポリージャ州エネルホダルに位置する。ロシアとの戦争開始後もしばらくは稼働を続けていたが、戦闘により外部電源がたびたび途絶えるなど危険な状況が繰り返された。
2022年9月にザポリージャ原発は運転を停止したものの、原子炉内の核燃料は依然として冷却を必要としており、安定的な電力供給が不可欠となっている。
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