
ノーベル平和賞の受賞者発表が10日(現地時間)に迫る中、ノルウェーはその「余波」に備えた対策を進めている。背景には、米国のドナルド・トランプ大統領が自身への授与を強く求めており、それに伴う経済的・外交的な報復や緊張の高まりを懸念しての措置である。
ブルームバーグの9日付報道によると、ノルウェーは現在、自国製品に対する15%の関税問題をめぐり、米国と貿易交渉を行っている。ノルウェーのセシリエ・ミルセット貿易大臣は、6日から9日まで訪米し、ワシントンDCで米政府関係者と会談したという。
また、トランプ大統領が受賞を逃した場合、ノルウェーの2兆ドル(約305兆3,212億円)規模の政府系ファンドを標的にした措置を講じる恐れも指摘されている。世界最大規模のこのファンドは、資産の約40%を米国に投資している。
こうした中、トランプ大統領の息子エリック・トランプ氏は9日の夜、SNSの「X(旧Twitter)」に「トランプ大統領がノーベル平和賞を受ける資格があると思うならリツイートを」と投稿した。ほぼ同時刻、ホワイトハウスの公式アカウントも、トランプ大統領が電話をかける写真を投稿し、「平和の大統領」という文言を添えた。
トランプ大統領自身も、ストゥブ大統領とホワイトハウス執務室で記者団に対し、「過去9か月間で8つの戦争を終結させたのは私だけだ。賞を狙って行ったのではなく、多くの命を救うための行動だった」と強調した。ストゥブ大統領は「トランプ大統領の過去7~8か月間の業績は確かに印象的だ」と評価しつつも、受賞者の決定権はあくまでノーベル委員会にあると指摘した。
ノルウェーとノーベル委員会は、外部の圧力で受賞者を決定することはないとの立場を幾度となく表明してきた。ノーベル平和賞の候補者推薦は今年1月31日に締め切られ、受賞者はノルウェー国会が任命する5人で構成される委員会が独立して審査し決定する。
ノーベル委員会のヨルゲン・バトネ・フリードネス委員長は、ノルウェー最大のタブロイド紙「ヴェルデンス・ガング(VG)」に対し、「今年の受賞者は6日に既に決定済みだ」と語った。公共放送NRKとのインタビューでは、「中東和平交渉の内容は今年ではなく来年の平和賞受賞者選考時にのみ考慮される」と述べた。
ノルウェーのエスペン・バルト・エイデ外相も、「政府はノーベル委員会の決定に介入しない」と強調した。
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