
米議会が連邦政府の運営正常化に必要なつなぎ予算案で合意に至らず、政府が本来の機能を果たせない政府機関の一部閉鎖が続いている。
米上院は8日(現地時間)、共和党と民主党がそれぞれ提出したつなぎ予算案を本会議で審議したが、いずれの案もフィリバスター(無制限討論による議事妨害)を打ち破って可決に必要な60票を確保できなかった。
米政府は、議会が10月1日に始まった2026会計年度の政府運営予算を成立させられなかったため、必須業務を除く政府機能が停止する政府閉鎖が8日目に入っている。
共和・民主両党は、政府機能を一時的に再開するためのつなぎ予算案をまず成立させたうえで2026年度予算の本格交渉を続けたい考えだが、立場の隔たりが大きく妥協点を見いだせずにいる。
共和党は前年度と同規模の予算を維持するいわゆる「クリーンなつなぎ予算案」の採決を主張している。一方、民主党は今回の政府閉鎖をドナルド・トランプ政権の一方的な国政運営に歯止めをかける好機とみなし、強硬姿勢を崩していない。
民主党が提出したつなぎ予算案には、公的医療保険制度「オバマケア」の補助金延長や、共和党が削減した低所得者向け医療保険制度「メディケイド」の予算復元、議会が承認したにもかかわらずホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)が執行を保留している資金の支出などが盛り込まれている。
これに対し、ホワイトハウスと共和党は、民主党が不法移民にも医療保険を適用しようとしていると主張し反発しているが、米国の主要メディアの多くは「共和党の主張は事実と乖離している」と指摘している。
トランプ政権はまた、政府閉鎖が長期化すれば連邦公務員の大多数を解雇する方針を示し、民主党への圧力を強めている。
過去の政府閉鎖では、必須業務を除く公務員が無給の一時帰休となり、終了後に未払い分が支払われるのが慣例だった。しかしトランプ政権は、政府閉鎖を政権初期に進められなかった政府機構改革を完遂する好機と捉えているとの見方が出ている。
トランプ政権下で予算が削減された国税庁(IRS)は、この日、全職員の約46%にあたる3万4,429人を一時帰休とする方針を明らかにしたと、政治専門メディア『ポリティコ』が報じた。
共和・民主両党の対立が続く中、政府閉鎖が当面解消されず長期化するとの見方が広がっている。
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