
ドナルド・トランプ米大統領が、中国によるレアアース(希土類)輸出制限への対抗措置として、ボーイング航空機部品の輸出規制を検討する可能性を示唆し、米中間の貿易摩擦が再燃している。
トランプ大統領は11日(現地時間)、ホワイトハウスで記者団に対し、「中国が希土類を規制するなら、我々も彼らが必要とするボーイング部品などに対して対抗措置を講じる」と述べ、「中国は多数のボーイング機を保有しており、関連部品や設備を多く必要としている」と指摘した。
トランプ大統領の発言は、中国の希土類輸出制限に対する報復措置を示唆するものと受け止められている。レアアースは電子機器やバッテリー、軍需装備の生産に不可欠な重要鉱物であり、中国は世界供給の60%以上を占める。
トランプ大統領は就任以来、ボーイングを米国製造業の象徴的企業として位置づけ、貿易交渉のカードとして繰り返し取り上げてきた。今年4月には、中国政府がトランプ政権との摩擦を背景に、自国航空会社にボーイング機の新規受け入れを中止するよう指示した経緯がある。
その結果、かつてボーイングの受注の約25%を占めていた中国の割合は現在5%未満に落ち込んでいる。
航空分析会社シリウムによると、中国の航空会社は少なくとも222機のボーイング機を発注中で、運航中のボーイング機は1,855機に上る。その大半は短距離路線用のボーイング737型だという。
現在、ボーイングは中国との間で最大500機規模の航空機販売交渉を進めているとされる。この契約が成立すれば、トランプ政権発足以降で初めてとなる大型の中国向け受注となる見通しだ。
一方、米国が部品輸出を禁止した場合、GEエアロスペースとフランスのサフランの合弁会社であるCFMインターナショナルも影響が及ぶ。同社はボーイング737MAXに搭載されるLEAPエンジンを供給しており、GEはボーイング777と787のエンジンも製造している。
中国は航空機産業の国産化を加速させている。国産旅客機C919でボーイング737やエアバスA320と競争することを目指している。現在、中国の顧客はC919を365機発注しているが、西側製部品に対する米国の輸出規制が生産ペースを大幅に遅らせている。
専門家の間では、今回のトランプ大統領の発言は単なる圧力発言を超え、米中間の航空・技術分野における対立激化の兆候だとみている。
ボーイング株価は2.44%安の210.73ドル(約3万2,023円)で取引を終えた。
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