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「一晩で変わる政策」…トランプ発“気まぐれ関税”で世界貿易秩序が崩壊!IMFも予測不能な事態に

荒巻俊 アクセス  

出典:AFP通信
出典:AFP通信

米国と中国の貿易対立が再び激化し、世界経済の不確実性が増している。国際通貨基金(IMF)は14日(現地時間)に新たな経済見通し報告書を発表したが、現在世界を揺るがす米中貿易対立の影響は反映されていない。報告書作成時と現状がすでに大きく乖離しているためである。

報告書によるとIMFは、米国の関税引き下げ・猶予による不確実性の緩和、在庫調整・貿易経路の再編で示された経済主体の良好な適応力、ドル安などを考慮し、今年の世界経済成長率を7月の見通しから0.2%ポイント上方修正し3.2%と予測したという。

このうち米国の経済成長率は関税の引き下げ、減税法案の成立、金融環境の緩和などにより2025年、2026年ともに0.1%ポイントわずかに上方修正された。中国、インド、ロシア、ブラジルなど155か国の2025年成長率も7月の見通しから0.1%ポイント上方修正し4.2%に、2026年は従来通り4.0%と予測された。

しかし最近、米国は輸入木材やキッチンキャビネットなどに新たな関税を課し、住宅建設コストの上昇を招いた。同時に米国と中国は互いの船舶に対する港湾入港料を引き上げる報復措置を講じた。

先週、中国は半導体・携帯電話・風力タービンなどの先端産業の核心素材であるレアアース金属の輸出を大幅に制限することを決定し、来月からは電気自動車バッテリー生産設備の輸出規制も実施する予定だ。

米国のドナルド・トランプ大統領は株式市場が4月以来最大の暴落を記録すると、一時的に融和的な姿勢を示したが、中国製品に100%の追加関税を課すという脅しは撤回しなかった。

 引用:Getty Images*この画像は記事の内容と一切関係ありません
 引用:Getty Images*この画像は記事の内容と一切関係ありません

ロンドン・ビジネス・スクールのリチャード・ポーテス教授は「米中関係は極めて不安定だ」とし、「日々政策が変わるのは、トランプ政権の典型的な特徴だ」と指摘した。彼は「この不確実性が世界経済に深刻な影響を与えている」と懸念を示した。

同校のルクレツィア・レイクリン教授(Lucrezia Reichlin)も「貿易政策が揺れ動いているが、世界経済は依然として緊密に結びついている」とし、「ただし経済の中心軸が西側からアジアにシフトしている」と分析した。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は同日、「米中間の緊張が一段と高まり、その影響が世界中に波及している」と報じた。中国による金属や磁石の輸出制限は欧州の自動車産業を直撃しており、米国が中国製船舶に課した関税も、中国以外の海運会社にまで影響を及ぼしている。これに対抗する形で、中国政府は15日、韓国のハンファグループが米国内に持つ5つの子会社を制裁対象に追加した。中国側は、これらの企業が「米国の造船業界への圧力に加担した」と非難している。

NYTは「米国と中国が各国に事実上の陣営選択を強要している」と指摘した。世界最大の中国製自動車輸入国の一つであるメキシコは、米国の強力なロビー活動の後、中国製自動車に50%の関税を課すことを決定した。

一方インドはロシア産原油の輸入で米国の制裁を受けたことを機に、中国との関係修復に乗り出した。インドのナレンドラ・モディ首相は8月、7年ぶりに中国を訪問し、安全保障・経済会議に出席した。彼は「インドには米国以外にも多くの同盟国がある」というメッセージを公然と示した。

トランプ大統領が輸入鉄鋼・アルミニウムに50%の関税を課すと発表した際、英国の鉄鋼業界は自国政府が米国と交渉し、関税を25%に引き下げることに成功し、「危機を回避した」と安堵した。しかし先週、欧州連合(EU)が加盟国に入る鉄鋼に50%の報復関税を発表し、状況が一変した。

英国の鉄鋼輸出の80%がEU向けであるため、事実上の「直撃弾」を受けた形だ。英国は本来の標的ではなかったが、米中貿易戦争の「巻き添え」になった。EUの今回の措置は「ダンピング」問題が指摘されている中国製の低価格鉄鋼を狙ったものであり、同時に米国との交渉で有利な立場を確保しようとする戦略である。

欧州委員会は「グローバルな供給過剰から自国経済を守るため、志を同じくする国々と協力する用意がある」とし、「米国との協力策も引き続き模索する」と表明した。保護貿易主義の潮流はカナダ・ブラジル・メキシコなどにも波及している。各国は自国の鉄鋼産業を守るため、連鎖的に関税障壁を高めている。

このように米国と中国の貿易対立が全世界に広がる中、IMFですら予測できなかった「混沌の時代」が到来したとの見方が出ている。米国と中国の両国が成長鈍化の兆しを見せており、グローバルサプライチェーンの不安が長期化すれば、世界経済の減速につながる可能性も高い。

荒巻俊
aramakis@kangnamtimesjp.com

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