
14日(現地時間)、ベルギーで政府の緊縮財政や年金改革に抗議する全国規模のストライキが発生した。約10年ぶりの最大規模の一つとなり、警察とデモ隊が各地で衝突し、交通機関および公共サービスが麻痺した。
ポリティコやユーロニュースなどは、この日ベルギー全土で、政府の緊縮財政や年金・労働改革に抗議する労働者や市民数万人が街頭に繰り出したと報じた。
警察の推計では8万人、主催者側の推計では14万人が参加したとされる。2014年には1日のストライキに10万人が参加した実績がある。
ストライキはベルギーの労働組合が主導し、フラマン民族主義者バルト・デ・ウェーバー率いる右派連立政府の緊縮政策に抗議するものである。抗議の焦点は、2030年までに定年を65歳から67歳に引き上げる年金改革案である。
また、労働者、医師、学生、教師、家族など幅広い市民層が、移民政策、医療、福祉、保育、教育、物価など、政府の政策全般に対する不満を表明した。
労組と市民は、政府が社会的対話や協議を無視し、一方的に政策を推進していると批判し、国民の声に耳を傾けるよう要求している。
ストライキにより交通は大混乱に陥り、社会全体に大きな混乱をもたらした。
ブリュッセル南部のシャルルロワ空港およびブリュッセル国際空港では全ての航空便が欠航となり、地下鉄、バス、路面電車もほぼ運行を停止した。
ゴミ収集などの公共サービスも滞り、ベルギー全土の教育機関もストライキに参加した。警察と赤十字は安全確保や食料供給の支援に当たった。
各地で警察とデモ隊との衝突が発生した。
警察はブリュッセル中心部のパシェコ通りでデモ隊を制圧するため、催涙ガスと放水銃を使用し、数十人を逮捕。参加者の一部が負傷した。ある参加者は「平和的にデモ行進をしていたのに、突然警察が現れた。ごく一部の問題行動のために群衆全体や高齢者、子供にまで催涙弾を使用するのは恥ずべき行為であり、理解に苦しむ」と非難した。
一部の過激なデモ隊は移民局や政党事務所の建物を破壊し、器物損壊を引き起こした。ブリュッセル中央駅向かいのヒルトン・ブリュッセル・グランドプレイス前では、デモ隊がガラス瓶を投げ、警察が放水銃と催涙弾で対抗する場面も見られた。また、ブリュッセル環状道路付近では小規模な火災が発生した。
海外メディアは、今回のストライキが右派連立政府に圧力をかける結果になるとの見方を示している。政府はストライキ前日に予算合意に至らず、首相の国会演説も延期されている。
ベルギーの2024年末時点の財政赤字は国内総生産(GDP)の4.5%、公的債務はGDPの100%を超え、EU基準(財政赤字3%、国家債務60%以下)を上回っている。
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