
ドナルド・トランプ米大統領は、中国に課す新たな関税を財源とする「ウクライナ勝利基金」の設立を進めている。
15日(現地時間)、テレグラフなどによると、トランプ大統領はスコット・ベッセント米財務長官に対し、欧州諸国と協議の上で、新関税で得られた収益を活用した「ウクライナ勝利基金」の設立計画を検討するよう指示した。トランプ大統領は、最近中国がレアアースや重要鉱物の輸出規制を強化したことを受け、11月1日から中国製品に対して追加関税100%を課すと警告していた。
報道によれば、米国の「ウクライナ勝利基金」の設立計画には、中国製輸入品に最大500%の高率関税を課し、その収益をウクライナ軍への武器供与資金として充てる内容が含まれている。テレグラフは「この計画は、中国が支援するロシアの軍事力に最大限の経済的圧力をかけ、米国主導のロシア・ウクライナ停戦交渉に引き込む狙いがある」と分析した。
ベッセント長官は同日、ワシントンでの記者会見で「トランプ大統領は、欧州同盟国に対し、我々が中国に対して『ロシア産石油関税』または『ウクライナ勝利関税』を支持する意向を伝えるよう指示した」と述べた。ただし「ウクライナや欧州同盟国が参加する必要がある」と付け加え「欧州が協力すれば米国も対応する」と説明した。これは、米国主導の対中関税に欧州諸国が参加する場合に限り、関税収益をウクライナ支援に充てる方針であることを示す。
ワシントンの外交筋はテレグラフに対し、「ロシア産石油を購入する中国を制裁する米国の提案は、過去に欧州各国政府の反対で何度も頓挫してきた」と明かした。北大西洋条約機構(NATO)加盟国は、中国を「ロシア・ウクライナ戦争の決定的な協力者」と位置付けるが、英国など一部の加盟国は、中国を公式に「敵国」と指定することには慎重な姿勢を示しているという。
英オンラインメディア「インディペンデント」は、「ウクライナ勝利基金は、事実上、対中関税をウクライナ戦争と結び付けようとする狙いであり、トランプ大統領の外交政策に新たな経済的圧力を加えるものだ」と指摘した。
テレグラフは今回の指示について、「17日、ヴォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領のワシントンDC訪問を控えて出されたもの」と説明している。トランプ大統領とゼレンスキー大統領は今週末、会談を行う予定である。
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