
グローバル食品大手のネスレは、コスト削減の一環として1万6,000人規模の大規模な人員削減に踏み切る。
CNBCやフィナンシャル・タイムズによると、ネスレの新任最高経営責任者(CEO)であるフィリップ・ナヴラティル氏は初の公式経営報告で「世界は急速に変化しており、ネスレもそれに合わせてより迅速に変革しなければならない」と述べ、今後2年間にわたる人員構造改革計画を明らかにした。
今回の人員削減はネスレ全体の従業員の約6%に相当し、そのうち1万2,000人が事務職、残り4,000人が製造およびサプライチェーン部門に属する従業員だ。この発表を受け、スイス証券取引所でのネスレ株は取引開始直後に7.8%急騰した。
ナヴラティル氏は、部下とのスキャンダルにより解任された前CEOローラン・フレシェ氏の後任であり、前任体制が推進していたコスト削減計画をさらに強化した。従来の250億スイスフラン(約4兆7,450億円)規模のコスト削減目標を、2027年末までに300億スイスフラン(約5兆6,940億円)に引き上げたと説明した。
ネスレはここ2年間、価格上昇に伴う消費者心理の冷え込みなどで販売不振が続いていたが、第3四半期の有機的売上高は4.3%成長し、市場予想を上回った。これはM&Aなどの外部要因ではなく、自社ブランドの競争力強化と販売の回復によるものとみられる。
特にネスプレッソとキットカットなどの主力ブランドの成長が顕著で、実質内部成長率(RIG)も第3四半期に0.6%上昇し、プラスに転じた。成長投資の効果に加え、前年同期比の反動が相まった結果とみられる。
ナヴラティル氏は「現在の最優先課題は販売量の回復だ」とし、「今四半期の成長は消費者の信頼回復を示している」と述べた。
フォントベルのアナリスト、ジャン・フィリップ・ベルチー氏は「まだ不安定な面はあるものの、今回の業績はネスレが正しい方向に進んでいることを示している」とし、「この結果は投資家の信頼を部分的に回復させる契機になるだろう」と評価した。
投資家の間では、新CEOの下で同社が事業ポートフォリオを全面的に見直し、負債削減のための資産売却に踏み切ることを期待している。ネスレの負債は2020年以降ほぼ倍増しているという。
売却の可能性がある資産として、チョコレートなどの菓子事業、冷凍食品ブランド、そしてフランスの化粧品大手ロレアル株(20.1%保有)が挙げられている。
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