0.4%の進撃で犠牲者は140万人…「戦争経済の限界」を警告

英国の時事週刊誌「エコノミスト」は最新号で「ロシア軍が現在の速度で進撃を続けた場合、ウクライナ全土を完全に制圧するまでに108年かかる」との分析を発表した。
エコノミストによると、ロシアは今春の大規模攻勢以降、新たに確保したウクライナ領土は全体の0.4%にとどまり、その代償として甚大な人的損失を被ったという。
4つの占領地域の完全掌握にも2030年までかかる
エコノミストは17日(現地時間)の報道で、「2022年10月、ウクライナの最初の反撃が終結して以降、前線はほぼ膠着状態にある」と指摘した。また「過去30日間の進撃速度を基に試算すると、ロシアが併合を宣言したルハーンシク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソンの4州を完全に占領するには2030年6月までかかる」と分析した。
さらに、「ウクライナ全土を支配するには、そこからさらに103年を要する」と付け加えた。
戦果はごく僅かな「血の攻勢」…死傷者は最大140万人に達する
エコノミストによれば、ロシア軍は2022年2月の全面侵攻以来、今年1月までに推定64万から87万7,000人の死傷者を出し、そのうち死亡者は13万7,000~22万8,000人に上るという。
今年10月時点ではこの数が約6割増加し、死傷者は98万から143万人、死亡者は最大48万人に達していると推定された。
エコノミストは「ロシアの戦争前の60歳未満の男性人口の0.5%から1.2%が戦死したとみられ、これはウクライナ側の0.6%から1.3%とほぼ同水準」とし「ロシアは甚大な犠牲を払いながらも戦況の変化はほとんどない」と伝えている。
「大規模攻勢は自殺行為、小規模な浸透のみ可能」

エコノミストはまた「監視技術や長距離精密攻撃兵器の発達により、前線付近で兵力を集中させるのは自殺行為に等しい」と指摘し「今後は小規模部隊による限定的な浸透戦術以外、進展を望むのは難しい」との見方を示した。
さらに「西側諸国の支援が続けば、戦争は莫大なコストを伴う長期の消耗戦になる可能性が高い」と警告している。
プーチン大統領の戦争経済が先に崩壊する可能性も
エコノミストは「ロシアが現在のペースで戦闘を続けること自体が限界に近づいている」とし「無理な攻勢を続ければ、ウクライナの防衛線よりも先にプーチン政権の戦争経済が崩壊するおそれがある」と伝えた。
ウクライナメディア「RBC」はエコノミストの分析を引用し「ロシアは今春の攻勢で少なくとも10万人を失い、夏の大規模損失によってウクライナ国内での兵力優位も失われた」と報じた。
また、ロシア各地で予算不足のため、契約兵の募集報奨金が大幅に減少しており「これまで一時金として最大360万ルーブル(約668万9,347円)を支給していたサマーラ州では、最近40万ルーブル(約74万3,302円)にまで引き下げられた」と付け加えた。
戦場は停滞しているが、外交戦は続く

エコノミストの分析は、ウラジーミル・プーチン露大統領が最近、ドナルド・トランプ米大統領との電話会談で、ウクライナ東部ドネツク州の放棄を停戦条件として求めたと報じた米紙「ワシントン・ポスト(WP)」18日付の内容とも重なる。
軍事的成果が乏しい中で、政治的譲歩を引き出そうとするプーチン大統領の思惑が透けて見えるという。
トランプ大統領はプーチン大統領との通話後、トマホークミサイルの追加支援方針を保留し、態度を転換したとされる。
専門家らは「戦線ではロシアの進撃が停滞しているが、外交舞台ではプーチン大統領が『停戦の主導権』を握ろうとしている」と分析している。
西側内部では「プーチンが戦況の行き詰まりを政治的駆け引きに転化しようとする動きだ」と指摘している。
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