豪首相との会談で台湾有事の可能性を一蹴
「米軍事力に対抗できる国はない」と強調
「中国と素晴らしい通商協定を結ぶ」と意欲
合意不成立なら関税を最大155%まで引き上げへ

ドナルド・トランプ米大統領は、中国による台湾侵攻の可能性について「中国はそんなことをしたいとは思っていない」と述べ、可能性を否定した。
トランプ大統領は20日(現地時間)、ホワイトハウスでオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相と会談した後、記者団の質問に応じた。「中国が2027年までに台湾へ侵攻する可能性」について、「米英豪の安全保障枠組み『AUKUS(オーカス)』が抑止力となり得るか」と問われ、「そうだ」と答えたものの、「ただ、我々がそれを必要とすることにはならないだろう」との見方を示した。
さらに、「米国は世界で最も強力な軍事力を持つ国で、どの国も比較にならない」と強調。「最高の装備と能力を備えており、誰も対抗しようとはしない」と述べた。そのうえで、「習近平国家主席についても、そのようなことが起きるとは考えていない。台湾問題についてもうまく対応できるだろう」と付け加えた。
トランプ大統領はまた、「台湾が習主席にとって『とても大切な存在(the apple of his eye)』でないとは言わない。おそらくそうだろう。しかし、何も起こらないと思う」とも述べた。トランプ氏は8月にも米『フォックス・ニュース』のインタビューで、「自身の任期中、中国は台湾に侵攻しないと習主席が述べた」と主張していた。
今月末に韓国・慶州(キョンジュ)で開かれるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に合わせて予定されている習主席との首脳会談については、「素晴らしい通商協定を結ぶことになるだろう。それは両国だけでなく、世界にとっても素晴らしいものになる」と語った。そのうえで、「両国にとって良い合意をつくりたい」としつつも、「もし協定が締結されなければ、11月1日から中国製品への関税が最大155%まで引き上げられる可能性がある」と強調した。
「ハマスが停戦を破れば即座に介入」
一方、イスラエルとハマスの停戦合意をめぐっては、「ハマスが合意を破れば、我々が介入して根絶させる」と警告した。トランプ氏は、停戦合意を破る主体が「ハマスの指導部そのものではないだろう」としながらも、「もし彼らが違反を続けるなら、我々は介入して事態を正すことになる。それは不幸なことだが、非常に迅速かつ相当な暴力を伴って行われるだろう」と述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻についても、「合意の実現に向けて努力している」とした上で、「もし合意に至らなければ、多くの人々が大きな代償を払うことになる」と語った。ただし、ウクライナの勝利の可能性については「必ず勝つとは思わない。勝つかもしれないが、私は『必ず勝つ』と言ったことはない。『勝つかもしれない』と言っただけだ。何が起きてもおかしくない」と述べ、これまでの発言に比べてややトーンを和らげた。
この日の会談に同席したオーストラリアのケビン・ラッド駐米大使については、不快感を隠さなかった。
過去にラッド大使がトランプ氏を批判したことに関する記者の質問に対し、「彼のことはまったく知らない」と答えた。さらに、ラッド氏が現在もオーストラリア政府で職務に就いているのかを尋ねた上で、「私もあなたのことが好きではないし、おそらくこれからも決して好きになることはないだろう」と語った。
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