
米国と中国が互いに船舶へ入港料を課し、世界の海運市場が大きく揺れている。主要航路の運賃は1週間で10%以上急騰し、船会社は航路変更を余儀なくされるなど、混乱が広がっている。企業の物流コストへの負担も急速に増加している。
21日、上海海運取引所によると、世界の海運運賃の基準指標である「上海コンテナ運賃指数(SCFI)」が先週末に1,310.32で終了したという。1週間で12.9%急騰し、5月以来最大の上昇幅を記録した。SCFIは、上海発の輸出コンテナ輸送市場における15の主要航路の運賃を反映した指数であり、世界の海運市場の動向を示す重要な指標になっている。
今回の急騰の背景には、14日に実施された米中の「入港料報復措置」がある。米通商代表部(USTR)は、中国が所有または運営する船舶に対してトン当たり50ドル(約7,593円)、中国で建造された船舶に18ドル(約2,734円)の入港料を課した。これに対し、中国は、米国企業・個人・機関が所有または25%以上の株式を保有する船舶、ならびに米国産・米国籍船舶に対してトン当たり400元(約8,526円)の特別入港料を課した。
両国は2028年まで段階的に料金を引き上げる予定である。特に米国は自動車運搬船(PCTC)に対して、建造国に関係なくトン当たり46ドル(約6,988円)を課しており、現代グロービスなど韓国の船会社も直接の影響を受けている。
両国が報復措置を発表した後、世界の海運会社は航路を大幅に再調整した。マースクやハパックロイドなどの主要船会社は、米国籍船「ポトマック・エクスプレス号」と「マースク・キンロス号」の中国寧波舟山港への寄港を中止し、韓国釜山港を経由する迂回路線を運営している。寧波向けの貨物を釜山で積み替え、他の船舶で運ぶ方式だが、これにより輸送時間とコストが同時に増加した。
ギリシャのシナジー・マリタイム・ホールディングスのスタマティス・ツァンタニス代表はロイター通信に対し、「中国の港に入港できる船舶の数が明らかに減少した」と述べ、「結局、追加コストは消費者が負担することになる」と語った。
タンカー市場も不安定である。エネルギーコンサルティング会社エネルギー・アスペクツによると、中国の報復措置直後、中国向けの大型原油タンカー(VLCC)を運航できる船舶が減少し、運賃が2週間で最高値を記録した後も高止まりが続いているという。一部のチャーター契約では、中国港の寄港を避けるために航路を変更する事例も増加している。
コンテナ輸送市場の混乱は、積み替え港にも波及している。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、「中国寄港を避けようとする船舶が韓国釜山やシンガポールなど第三国の港に集中し、積み替え量が急増している」とし、「滞在時間が長くなり、スケジュールが乱れ、『ボトルネック』が深刻化している」と報じた。
それにもかかわらず、逆説的に中国を含む海運同盟の市場シェアはむしろ上昇している。韓国海洋振興公社(KOBC)によると、中国の中国遠洋海運集団や台湾の長栄海運などが属する「OCEAN ALLIANCE」は、最近、アジア~北米西岸航路のシェアが35%に上昇し、首位を記録しているという。米国の船会社の寄港回避によって生じた空白を中国系船会社が埋め、シェアがむしろ高まったのだ。北米東岸および欧州航路でも、年末にはシェアが40%を超えると予想されている。
中国交通運輸部の劉偉部長は最近、上海国際海運フォーラムにおいて「米国の入港料が中国の海運・造船業に与える影響を評価するための調査を公式に開始した」と述べ、「法令に基づき、産業全体の安全性と発展策を共に検討する」と語った。
専門家らは今回の事態が短期的な運賃急騰を超えて「物流コストインフレ」に拡大する可能性について警告している。米シンクタンク、ケイトー研究所のコリン・グラボウ副所長は「非効率性と料金負担が蓄積されれば、結局輸送コストの上昇につながるしかない」とし、「時間の問題であり、コストの転嫁は避けられない」と指摘した。
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