
米国はイタリア産パスタに対し、最大100%を超える高率関税を課す動きを見せており、欧州全体の食品産業に緊張が走っている。
9月4日、米商務省は暫定的措置として、13のイタリア製パスタブランドに対し91.74%の「アンチ・ダンピング関税」を課すと発表した。この措置が確定すれば、既に適用中の欧州連合(EU)産製品に対する15%の一般関税と合わせ、2026年1月から合計106.74%の関税率が適用される見込みだ。
昨年、イタリアは米国に約7億ユーロ(約1,233億1,664万円)相当のパスタを輸出している。関税が実施されれば、イタリアの主要輸出品の一つであるパスタ産業は、輸出が事実上停止する危機に直面することになる。
当初この問題は1か月間あまり注目されなかったが、イタリア産業界への影響が顕在化し、最近急速に関心が高まっているとユーロニュースが16日(現地時間)に報じた。イタリア食品組合(UIF)のマルゲリータ・マストロマウロ会長は、ユーロニュースとのインタビューで今回の措置は明らかな保護貿易主義であり、この税率ではほとんどの事業者が米国市場から撤退せざるを得なくなると指摘した。

イタリア産パスタに対する米国の関税論争は今回が初めてではない。1996年、米国のパスタ製造業者がイタリア産製品が現地市場で自国製品よりも低価格で販売されているとして「ダンピング」疑惑を提起したのが発端である。
その後、両国は数回交渉を行ったが、今回のように関税率が90%を超えることはなかった。トランプ大統領は復帰後、不公正な貿易慣行を正すため、鉄鋼、自動車、農産物など多岐にわたる分野で高率関税を予告しており、今回の措置もその延長線上にあるとみられ、欧州連合(EU)への貿易圧力が再び強化されている。
イタリア政府は即座に反発し、フランチェスコ・ロロブリジーダ農業相は今回の措置をイタリア産業を狙った過度な保護主義と批判した。さらにイタリア外務省は、米商務省の調査に「利害関係者(interested party)」として参加し、公式に反対の立場を表明した。欧州委員会も事態を注視し、対応を準備中である。

イタリアは世界最大のパスタ輸出国であり、全体のパスタ輸出の約25%が米国市場に依存、関連産業には5万人の従事者がいる。もし今回の関税が確定すれば、中小食品企業の収益性は急激に悪化し、イタリアの農産物価格にも連鎖的な影響が及ぶとみられる。
国際食糧政策研究所(IFPRI)は、イタリア産パスタの価格が米国内で約2倍に上昇する可能性が高く、これは消費者物価にも影響を与える可能性があると分析している。
一部では、トランプ大統領とイタリアのジョルジャ・メローニ首相が友好関係を維持しているにもかかわらず、なぜイタリアが関税の標的になったのか疑問視する声も上がっている。欧州の外交筋はユーロニュースに対し、「今回の措置は米政権内の通商代表部(USTR)と商務省との権限争いの結果である可能性がある」と語った。トランプ大統領の再任後、両機関は主導権をめぐって対立しており、その過程で象徴的なイタリア産パスタを狙った措置が打ち出されたとの見方も出ている。















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