
高市早苗新首相は24日、国内総生産(GDP)比2%への防衛費拡大目標を2年前倒しで年内に達成する方針を正式に打ち出す見通しだ。
23日付の日本経済新聞や朝日新聞などが入手した首相の所信表明演説原稿によると、高市首相は24日に召集される臨時国会で、重点政策を示す演説の中でこの方針を明らかにする。演説原稿は国際情勢の変化と新たな戦争形態の出現に言及し、防衛費の増額を念頭に置いた「安全保障関連3文書」を2026年末までに前倒しで改定することを検討するとと記されている。
安全保障3文書は、政府が5~10年ごとに改定する外交・防衛の基本方針「国家安全保障戦略」、防衛目標と手段を示す「国家防衛戦略」、防衛費総額と装備整備規模を定める「防衛力整備計画」で構成される。現行文書は2022年末に策定され、2027年度までに防衛費をGDP比2%に引き上げることを目標としている。
この方針に基づく防衛費の増額により、今年度当初予算の防衛費はGDP比約1.8%に達した。演説原稿には、GDP比2%水準を確保するため、補正予算を含めて年内に先行的な措置を講じると明記されている。
また、原稿には中国への言及も盛り込まれた。中国について「重要な隣国であり、建設的で安定した関係を構築する必要がある」としつつ、「安全保障や経済安全保障上の懸念事項が存在するのも事実だ」と指摘した。そのうえで、首脳間対話を通じて「戦略的互恵関係」を推進すると明記した。
NHKによると、高市首相は来週の日米首脳会談でも、安全保障関連3文書の改定方針と防衛力の抜本的な強化策を説明する見通しだという。
ドナルド・トランプ米大統領は27~29日に日本を訪問し、天皇陛下および高市首相と会談する予定。NHKは、高市首相がトランプ大統領の「同盟国の安全保障負担が不十分」との認識を踏まえ、日本の防衛力強化の取り組みを説明する意向だと伝えた。
先に高市首相は21日の記者会見で「日本自身の防衛力を確実に強化していくという話をしたい」と述べ、強い決意を示していた。
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