新型潜水艦に遠隔攻撃能力は不可欠
高市首相、本日国会で演説予定
「防衛費GDP比2%」年内に実現する方針

高市早苗首相が率いる新政権が、原子力潜水艦の導入を検討する考えを示した。さらに、今年中に防衛費を追加で増額するための補正予算の編成にも着手する方針だ。政権発足直後から「強い日本」の再建を掲げ、防衛力強化に大きくかじを切る構えを見せている。中国を念頭に置いた軍事力強化の意図も明確だとの見方が出ている。
小泉防衛相「原潜導入を排除しない」
小泉進次郎防衛相は22日の就任会見で、新型潜水艦の導入方針について「いかなる選択肢も排除しない」と述べ「政党間で交わした約束は重い」と強調した。
これに先立ち、自民党と連立与党の日本維新の会は20日、連立合意書で「次世代推進力を備えたVLS(ミサイル垂直発射装置)搭載型潜水艦の保有を推進する」と明記し、長距離ミサイルの搭載や長期間の潜航が可能な新型潜水艦の導入を目標に掲げていた。これにより、原子力潜水艦導入の可能性が取り沙汰されていたが、小泉防衛相がそれを公式に認める形となった。
同日午前には、北朝鮮が高市政権発足後初となる弾道ミサイルを発射しており、安全保障環境の緊迫化を背景に発言がなされたとみられる。
小泉防衛相は新型潜水艦の開発について「VLSを搭載した潜水艦の開発を含め、将来の中核となる『遠隔攻撃』能力の強化は不可欠だ」と述べ「抑止力と対処力を高める方策を検討する」と付け加えた。
「遠隔攻撃」能力とは、敵の射程圏外から巡航ミサイルなどで拠点を攻撃できる能力を指している。日本政府は2022年に改定した「国家安全保障戦略」など3つの安保関連文書の中で「敵基地攻撃能力」の保有を明記しており、遠隔攻撃能力はその中核をなす要素とされている。
ロイター通信は「海上自衛隊が運用するディーゼル潜水艦に比べ、原子力潜水艦は潜航期間が長く、巡航ミサイルを搭載すれば報復能力を高め、抑止効果が増す」と伝えた。
小泉防衛相は「3年前の安保関連文書改定時よりも、国内外の環境は一層厳しくなっている。防衛力強化にしっかり取り組む」と述べ「防衛力は金額よりも中身が重要だ」と強調した。
「GDP比2%」の防衛費、年内に実現へ
朝日新聞などによると、高市首相は24日の国会演説で、防衛費を2027年までに国内総生産(GDP)比2%に引き上げる当初目標を2年前倒しし、今年中に実現する方針を表明する見通しだという。
日本の今年の防衛費はGDP比で約1.8%とされているが、高市政権は補正予算を編成し、年内に2%台へと引き上げる考えだ。高市首相は衆院の首相指名選挙で過半数を超える237票を獲得しており、その勢いを背景に予算成立を目指す。
こうした動きについて、28日に予定されているドナルド・トランプ米大統領との日米首脳会談を控え、高市首相が「年内防衛費増額」という成果を持って臨もうとしているとの見方もある。日本経済新聞は「2027年度の防衛費は8兆9,000億円規模となり、2026年度より1,000億円増加する見通し」と報じた。
高市首相は演説で中国について「重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築する必要がある」と述べる一方で「安全保障や経済安全保障の観点から懸念が存在することも事実」と指摘する見通しだ。
また「首脳間の対話を通じて戦略的互恵関係を進める」とも表明するとみられている。
一方、高市首相は23日、北朝鮮による日本人拉致被害者の家族と面会し「何としても突破口を開く。金正恩北朝鮮国務委員長と首脳会談を行う覚悟がある」と語ったという。
















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