APECを機に「米朝会談」への期待高まる
北は沈黙も、板門店で美化作業の動き
「関係修復の一環として実現の可能性も」
6年前の会談を導いたチェ・ソニ外相は訪ロ中
「拒否のシグナル」か「会談と無関係」か 見方分かれる

今月29〜30日に訪韓するドナルド・トランプ米大統領が、北朝鮮の金正恩国務委員長に対し「会いたい」と直接ラブコールを送ったことで、「米朝サプライズ会談」実現の行方に注目が集まっている。北朝鮮は26日夜まで特段の反応を示していないものの、過去の例から見ても会談の可能性は依然として残されている。
トランプ大統領はこれまで幾度となく金委員長にラブコールを送ってきた。北朝鮮は首脳間の個人的な親交を認めつつも、非核化を前提とした対話には一線を画してきた。そうした中、トランプ氏は訪韓を控えた24日(現地時間)、「北朝鮮はニュークリア・パワー(核保有国)だ」と改めて強調し、「喜んで会いたい」と発言のトーンを一段と高め、金委員長の出方をうかがう姿勢を見せた。
北朝鮮がこの発言をどう受け止めるかは不透明だ。北朝鮮が求める核保有国としての地位を事実上認める「寛容なメッセージ」と受け取る見方がある一方で、単に北朝鮮が核兵器を保有しているという現実を指摘したにすぎないとの分析も出ている。
これに関し、韓国の大統領室は同日、「今回の発言は、北朝鮮の核能力が高度化している事実を指摘したものとみている」と説明。「韓米は朝鮮半島の非核化という共通の目標の下で緊密に協力している」と強調した。

一方、北朝鮮はこの日、チェ・ソニ外相がロシアとベラルーシを訪問すると発表し、その背景にも関心が集まっている。チェ外相は2019年6月、トランプ大統領がSNSを通じて会談を呼びかけた際、「非常に興味深い」と応じて米朝首脳会談を実現に導いた中心人物だ。今回の訪問日程は26〜28日で、ベラルーシまで足を延ばす場合、トランプ氏の訪韓期間中は北朝鮮に不在となるため会談は難しいとの見方もあるが、米朝外交は「トップダウン」方式であることから、チェ氏の動向とは無関係との指摘もある。
さらに、北朝鮮側で会談を念頭に置いたとみられる動きも確認されている。韓国のチョン・ドンヨン統一部長官は24日、「北朝鮮が板門館周辺の北側施設で清掃や草むしり、花壇の手入れ、剪定、写真撮影などを行う様子が確認された」と明らかにした。こうした動きはこの1週間の間に捉えられたもので、今年に入って初めてだという。米側ではアリソン・フッカー国務副長官らが最近訪韓しており、国連軍司令部は板門店の特別見学を一時中止している。
これについて、韓国のウィ・ソンラク国家安保室長は、マレーシア・クアラルンプールで開催中のASEAN首脳会議のプレスセンターで「特に把握していることはない」としつつも、「(米朝首脳会談に)備える考えは持っている」と述べた。
韓国・東国大学のキム・ヨンヒョン教授は「双方とも会いたいという気持ちはあるが、立場の違いから実現していない可能性がある」と分析。そのうえで「北朝鮮にとっても米国という大きな山を越える必要があるため、まずは関係修復に向けた『スキンシップ外交』に意義を見いだしているのではないか」と指摘した。
















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