
中国製の人工知能(AI)「ディープシーク(DeepSeek)」の発売以降、ロボット犬やドローン、戦術車両などへのAI導入を進める中国軍の「急速な進展」が注目されている。
27日(現地時間)、『ロイター』通信によると、今年中国軍が発表した数十件の入札公告を分析した結果、12件でディープシークの使用が言及されていたのに対し、競合モデルのアリババ製AI「クエン(Qwen)」が言及された公告はわずか1件にとどまったという。
ロイターは、「中国がディープシークとAIを活用し、米国との軍備拡張競争に追いつこうとする体系的な取り組みが見られる」と評価している。
グローバルセキュリティ企業レコーデッド・フューチャーの関連組織であるインシクトグループ(InsiktGroup)が発表した報告書でも、同様の分析結果が示されている。インシクトグループは、6月に発表した報告書の中で、「中国軍と防衛産業の調達記録を確認すると、5月末時点でディープシークの言及が150回以上あり、2月に初めて登場してから3~5月にかけて集中している」と指摘した。
また、ディープシークの大規模言語モデル(LLM)「V3」および低コストモデル「R1」の発売時期がそれぞれ昨年12月と今年1月であることから、中国軍が短期間でディープシークの「スピード戦」に突入したことがうかがえるという。
AIに搭載されるハードウェアチップの需要状況も、中国軍のスピード戦略を裏付けている。ロイターは、「米国商務省が2022年9月にNVIDIAのA100およびH100チップの輸出を禁止したにもかかわらず、中国軍とその下部機関が6月にもこれらのチップを使用している事例が確認された」と報じた。
さらに、過去2年間に中国人民解放軍国防科学技術大学などが提出した35件の国防関連特許において、NVIDIAのA100チップの使用が言及されていることも確認されたという。
実戦配備や性能の詳細な検証はまだ先であるものの、AIを活用した成果物が次々と登場している点は注目に値する。代表例として、AI搭載のロボット犬が挙げられる。
中国軍は昨年5月、カンボジアとの合同訓練「ゴールデン・ドラゴン」でこのロボット犬を披露し、銃で武装した四足歩行型のロボット犬が敵陣に先制突入する場面が話題となった。接近戦では、ロボット犬が偵察と制圧射撃を終えた後に歩兵分隊が進入する仕組みで運用されていた。
2月に公開された中国国営防衛産業企業ノリンコ(Norinco)の戦術車両「P60」は、ディープシーク搭載を中国当局が公式に発表した事例の一つである。
無人自律戦術車両が時速50kmで戦場を駆け巡り、補給や牽引などの支援任務を実施するデモで、ディープシークの戦場分析データを受け取ったP60は、障害物回避や標的識別、隊列走行などを自動で行ったという。
ロイターはまた、「中国軍の群れドローンが人間の介入を最小限に抑え、ディープシークを活用して標的を認識・追跡する大規模編隊作戦の実現を目指している」と指摘した。
西安工業大学は、5月に発表した研究で、ディープシークで動作するシステムが戦場シナリオ1万件を48秒で評価したと主張した。従来は同じ評価に48時間を要していたため、飛躍的な短縮であるという。
ロイターはさらに、米国務省の回答を引用し、「ディープシークは中国の軍事および情報活動を積極的に支援しており、今後もその可能性が高い」と伝えている。
















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