
日本経済新聞(日経)は今月29日、高市早苗首相とドナルド・トランプ米大統領が28日に東京にある迎賓館・赤坂離宮で首脳会談を行い、約4,000億ドル(約60兆円)規模の「日米間の投資に関する共同ファクトシート」を発表したと報じた。
両国政府は、原子力発電や人工知能(AI)電源開発、AIインフラ強化、重要鉱物など4つの投資分野を提示し、日本企業8社がプロジェクト構成に関心を示したと明らかにした。
ハワード・ラトニック米商務長官は同日、関心を表明した企業のCEOを招き、各社が検討するプロジェクト文書に署名する式を開催。
ソフトバンクグループ(9984・JP)の孫正義会長兼社長をはじめ、日立製作所(6501・JP)の德永俊昭社長、パナソニックホールディングスの楠見雄規社長、三菱電機(6503・JP)の漆間啓社長、東芝の島田太郎社長らが出席した。
ラトニック長官は、署名式後に「日米間の素晴らしい関係の始まりだ」と評価した。共同文書に明記されたプロジェクトの事業規模を合算すると、最大約4,000億ドル(約60兆8,060億8,655万9,202円)に達する。ソフトバンクグループは、最大250億ドル(約3兆8,021億2,483万3,997円)規模の大規模電力インフラ構築・運用を検討している。
共同プロジェクトの核心として、生成AIによる電力需要増加に対応する技術が浮上した。米原子炉製造業者のウェスティングハウス・エレクトリックは、新型原子炉建設プロジェクトに三菱重工業(7011・JP)、東芝、IHI(7013・JP)など日本企業の参加を検討しており、事業規模は最大1,000億ドル(約15兆2,099億2,954万5,285円)と予想される。
これは、日本国内の原発建設と主要部品製造のノウハウに対する期待が反映されたものと分析されている。
米GEベルノバと日立の合弁会社であるGEベルノバ日立ニュークリア・エナジーは、小型モジュール炉(SMR)建設を推進する。既存原発に比べて規模が小さく、建設工程の管理が容易なSMR事業の規模も、最大1,000億ドル(約15兆2,099億2,954万5,285円)と予想される。
電力の効率的なデータセンター供給事業では、日本企業が主導的な参加を模索している。日立は、長距離電力送電用高電圧直流送電(HVDC)設備や変圧器、送配電網制御装置などを担当。三菱電機も、データセンター用発電システムおよび機器供給で最大300億ドル(約4兆5,639億34万4,373円)規模の事業を見込んでいる。
パナソニックは、余剰電力貯蔵システムなどで最大150億ドル(約2兆2,819億5,017万2,186円)規模の事業を計画中だ。電線大手のフジクラ(5803・JP)は、データ交換の効率化に不可欠な光ファイバーケーブルを供給し、村田製作所(6981・JP)やTDK(6702・JP)など複数の電子部品大手企業もAI関連事業への参加を検討している。
米国がエネルギー分野において日本企業との協力を推進する背景には、生成AI普及による急激な電力需要増加がある。マッキンゼー・アンド・カンパニーによれば、2030年の米データセンター電力消費量は2023年比で4倍以上増加し、606テラワット時に達する見込みだという。
OpenAIやGoogleなど米テック企業の競争力を維持するには、電力インフラ整備が不可欠だ。巨大な米電力インフラ市場への参加を通じて、日本は自動車に匹敵する新産業の育成が期待される。中国のAI開発追撃の中で、日米企業連合による技術的優位性確保の目的も垣間見える。
赤澤亮正経済産業相は、28日の閣議後の記者会見で「ファクトシートに記載された企業が必ず参加すると決まったわけではなく、記載されていない企業も今後参加を表明できる」と説明した。
日本企業が参加する際は、日米関係者で構成される協議委員会が内容を協議した後、トランプ大統領に推薦し、投資案件は最終的にトランプ大統領が決定すると付け加えた。
















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