
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日(現地時間)、東部前線の要衝ポクロウシクとザポリージャ方面の情勢が「厳しい」と認めたと現地メディアが伝えた。
Newsisによると、ゼレンスキー大統領は同日、ソーシャルメディア「X」でオレクサンドル・シルスキー総司令官からの報告を受けたとして戦況を共有した。
ロシア軍約300人がポクロウシク侵入、北方へ移動し包囲網を構築
ゼレンスキー大統領は「現在、ロシア軍はポクロウシク方向とザポリージャ地域で攻撃の規模と頻度を増している」と述べ、特に「気象条件がロシア軍に有利に働いているため状況が難しい」と指摘した。
それでも「我々は占領軍を引き続き撃退している。ウクライナ防衛陣地を守るために戦うすべての部隊と兵士に感謝する」と前線部隊をねぎらった。
ウクライナ空中機動軍第7空中強襲軍団は同日「ロシア軍が濃霧を利用してポクロウシクへ侵入している」と報告した。濃霧によりウクライナ軍のドローン偵察や打撃能力が低下する中、ロシア軍は軽装備を用いて南側の占領地セリドベやドネツク方向から接近しているという。
第7軍団は「現在、ロシア軍約300人が都市に侵入し、北方へ移動して包囲網を築こうとしている」と伝えた。報道では、ポクロウシクでのロシア軍兵力はウクライナ側より約8倍に上るとされる。
ロシア、ポクロウスク占領間近か…3方向から包囲
ロシアは戦略的要衝ポクロウシクの掌握を1年以上にわたり狙ってきた。昨年2月にウクライナの拠点アウディーイウカを制圧した後、北西へ約40キロのポクロウシクへと着実に圧力をかけている。
ウクライナ戦況監視団体ディープステートの分析によれば、ロシア軍は現在ポクロウシクを三方向から包囲しており、ウクライナ側が増援や物資を搬入できる通路は約15キロにまで狭められているという。
ポクロウシクはドネツク州の交通・物流拠点であり、ロシアに奪われれば未占領のドネツク西部地域への足がかりとなる。ドイチェ・ヴェレ(DW)は、ポクロウシクの喪失は昨年2月のアウディーイウカ陥落に匹敵するロシアの大きな勝利として記録される可能性があると分析している。
ウクライナ、ザポリージャ州でも一部拠点を後退
ウクライナ軍はザポリージャ州の5つの拠点近くでも撤退した。ウクライナ南部軍の報道官ヴラディスラフ・ヴォロシンは公営放送ススピルネで「ウクライナ軍はウスペニウカとノヴォミコライウカから完全に撤退した」と述べ「ヤブルコベなど3、4カ所では激しい戦闘が続いている」と説明した。
ロシアのドローン攻撃で2名死亡・13名負傷
ロシアの空爆により、直近24時間でウクライナでは少なくとも2人が死亡、13人が負傷した。ウクライナ空軍は「ロシアは夜間にシャヘド型自爆ドローンなど119機を発射し、このうち53機を撃墜した」と発表した。
被害はドネツク州で2人が死亡、ヘルソン州で子どもを含む7人が負傷したほか、ハルキウ州で3人、ドニプロペトロウシク州で1人、オデーサ州で1人が負傷したという。
ウクライナ、ロシア領内のインフラ攻撃も実施
一方でウクライナ軍はロシア・オレンブルク州オルスクの製油施設を攻撃したと発表した。空襲警報が発令され、同地域の空港が一時閉鎖された。該当製油所はガソリン、ディーゼル、航空燃料、潤滑油など約30種の石油製品を生産し、年間約660万トンの原油処理能力を有するとされ、ロシア軍への燃料供給源とみられている。
またウクライナ軍はドネツク州のロシア占領地域にある火力発電所を空爆した。SNSに投稿された映像には、スタロベシェベ発電所で大爆発と火災が発生する様子が映っている。該当発電所は2023年1月にもウクライナ側のロケット攻撃を受けていた。
ウクライナ軍参謀本部は、ロシアが2022年2月に侵攻を開始して以降、これまでに115万3,180人の死傷者が出たと主張しており、前日は1,020人の新たな死傷者を報告した。
ルーマニアにロシア製ドローンの破片落下、強い警戒感
同日、ルーマニアにはロシア製とみられるドローンの破片が落下した。ルーマニア国防省は、これらがウクライナのオデーサ州の港湾インフラを攻撃した際の破片である可能性が高いと指摘した。
ロシアの攻撃標的の一つだったイズマイール港は、ルーマニア国境に近いドナウ川対岸に位置する。ルーマニアはドナウ川および黒海沿岸に沿ってウクライナと約600キロにわたる国境を接している。
ルーマニアのオアナ・トイウ外相は「ドローンの破片がルーマニアの居住地域に落下した」と強く非難し「ウクライナに対する無謀な攻撃がルーマニア領土にも影響を与えた」と述べた。さらに「こうした行為はロシアの侵略戦争に繰り返し見られる明白なパターンの一部だ。ロシアがこうした無謀かつ違法な行為に対して代償を払うよう、躊躇しない」と警告した。

















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