
ノルウェー政府は、ロシアの凍結資産を活用してウクライナを支援しようとする欧州連合(EU)の貸付計画について、同国の国富ファンドが単独で保証することはできないとの立場を明らかにした。
ロイター通信によると、イェンス・ストルテンベルグ財務相は12日(現地時間)、ブリュッセルで開かれたユーロ圏財務相会合に出席した際、自国の公共放送NRKのインタビューに応じ、「ノルウェーが約1兆6,000億ノルウェークローネ(約24兆6,000億円)のウクライナ向け貸付全額を保証すべきだという一部の見解が出ているが、それは絶対に不可能だ」と断言した。
ストルテンベルグ氏は、ノルウェーはEU加盟国ではないものの、これまでウクライナに対して相当額の財政支援を行っており、EUが進める凍結資産活用計画にも協力できると説明した上で「EUがどのような提案を出すかによって、さまざまな形で貢献できる可能性を検討する」と述べ、EU内の今後の議論に応じて限定的な参加の余地を残した。
同氏は昨年10月まで10年間、北大西洋条約機構(NATO)の事務総長を務めた経験を持つ。
欧州委員会は、ロシアのウクライナ侵攻後に凍結されたロシア資産の一部を活用し、今後2年間で総額1,400億ユーロ(約25兆円)規模の無利子貸付を実施する「賠償金貸付」構想を推進している。
EUで凍結されたロシア資産の大部分は、ベルギーの中央証券保管機関ユーロクリアに保管されているが、ベルギー政府は将来的な法的責任を懸念し、この構想に強く反対している。
一方、ウクライナ支援をめぐる議論が膠着する中、ノルウェーの経済学者2人が「ウクライナ戦争によるガス価格高騰で、ノルウェーは1,000億ユーロ(約18兆円)を超える超過利益を得た」と指摘し、国富ファンドを通じてEU貸付の保証国として関与すべきだと提案した。
この案は一部の政治家や外交官から支持を集めているものの、政府は慎重な姿勢を崩していない。
西欧最大の石油・ガス生産国であるノルウェーは、資源販売で得た利益を海外の株式や債券などに投資し、国内総生産(GDP)の4倍規模にあたる世界最大級の国富ファンドを運用している。
その影響力は国際金融市場でも極めて大きく、EU内での役割にも注目が集まっている。

















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