性犯罪で「懲役13年」元アイドル
中国の刑務所で死亡説が拡散

韓国のSMエンタテインメント所属グループ「EXO」を脱退し、中国で性犯罪を犯して服役中のウー・イーファン(35)が死亡したという噂が中華圏のSNS上で広がっている。これに対し、警察が「事実無根」と説明したと伝えられたものの、これも「フェイクニュース」だったことが判明した。
『香港01』など中華圏メディアによると、ここ数日、SNSでは「ウー・イーファンが刑務所で断食闘争中に死亡した」「刑務所内で性的暴行を受け死亡した」などとする根拠不明の情報が拡散しているという。
ウー・イーファンと同じ刑務所に収容されていたと名乗るネットユーザーは、「刑務官たちが密かに話しているのを聞いた。暴力団に集団暴行を受けて死亡したという噂が流れている」と主張している。
こうした噂は、微博やドウインといった中国のSNSに加え、台湾のネットユーザーが多く利用するThreadsでも急速に拡散している。
Threads上では、カナダ国籍を持つウー・イーファンの死去に「カナダ政府が遺憾の意を表明した」とする文章とともに、ウェブページへのリンクが貼られた投稿が広まりつつある。しかし、そのリンクを開くと、実際には無関係なウェブページが表示されるという。
これとあわせて、緑色の囚人服を着たウー・イーファンの写真が「刑務所内で撮影されたもの」としてSNS上に拡散している。
中華圏SNSで噂が拡散…「囚人服」姿の写真も
これに対し、「現地警察が事実無根だと説明した」という投稿がSNS上に見られた。投稿によると、江蘇省(こうそしょう)公安局はSNSを通じて「インターネット上で拡散しているウー・イーファンの最近の刑務所内写真は合成された偽画像であり、誤った情報を広めないよう注意してほしい」と呼びかけていたという。
しかし、『香港01』によると、この投稿は4年前の投稿を「再利用」したフェイクニュースであることが確認されており、死亡説について当局からは現時点で何の説明も出されていない。

2012年にデビューし、「Wolf」や「Growl」などでアジア全域に旋風を巻き起こしたアイドルグループ「EXO」のメンバーだったウー・イーファンは、2014年にSMエンタテインメントを相手に専属契約の無効確認訴訟を起こし、中国で独自に活動を開始した。
これに対し、SMエンタテインメントもウー・イーファンを相手に中国の裁判所で訴訟を提起。2016年には中国の裁判所による和解勧告を受け、双方は訴訟を終結させた。
その後、中国で歌手や俳優として活動していたウー・イーファンは、2021年に中国人女性からの告発を受け、多数の未成年者に対する性犯罪の疑惑が浮上した。告発を受けて、20人以上の女性が「自分もウー・イーファンから性的暴行を受けた」として法的対応に乗り出した。
警察の調査の結果、ウー・イーファンは2020年11月から12月にかけて、自宅で女性3人に酒を飲ませた後、酔って抵抗できない隙を突いて性的暴行を行ったことが判明。また、被害者の中には未成年者も多数含まれていたことが明らかになった。
ウー・イーファンは性的暴行および集団による性犯罪の容疑で逮捕・起訴され、翌年の一審で懲役13年の判決を受けた。裁判所はさらに、刑期満了後に国外追放とする処分も命じた。控訴審の裁判所も一審判決を支持している。そのほか、脱税の容疑で6億元(約120億円)の追徴金も課された。
逮捕直後、ウー・イーファンは中国の芸能界から追放され、彼の性犯罪事件は中国政府による芸能界への強力な規制策を講じる契機となった。逮捕後、SNS上では「刑務所で死亡した」「刑務所で贅沢三昧し体重が急激に増えた」といったさまざまな噂も拡散していた。













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