「来年1月の日中韓首脳会談」打診にも
中国「首相の対応は不適切」 参加拒否を通告

中国が、高市早苗首相の「台湾有事の際には日本が関与する可能性がある」との発言に対し、自衛権行使を示唆して強く反発している。来年1月に日本で開催予定だった日中韓首脳会談への参加も拒否するなど、日中関係は一段と緊張を強めている。
中国の国営通信社『新華社』は23日、中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使が21日(現地時間)にアントニオ・グテーレス国連事務総長宛てに書簡を送り、「日本が台湾問題に介入することは侵略行為に当たるものであり、中国は自衛権を行使する」と警告したと報じた。同書簡では、高市首相の発言撤回を強く求めた。
フー大使は、高市首相の発言について「日本が台湾問題への軍事介入を狙う野心を露呈したものであり、中国の核心的利益に公然と挑戦し、武力による威嚇を加えた極めて悪質な発言だ」と非難したうえで、「中国は国連憲章および国際法に基づき、自衛権を断固として行使し、主権と領土保全を守り抜く」と強調した。
この書簡は国連総会の公式文書として全加盟国に配布される見通しだと『新華社』は伝えている。フー大使の発言は、日本が台湾有事を理由に集団的自衛権を行使した場合、中国が武力対応に踏み切る可能性を示唆したものと受け止められている。また、台湾問題をめぐる日中対立において、国際社会の支持を取り付けようとする狙いがあるとの見方も出ている。『ロイター通信』は、中国が過去2週間にわたる日本との摩擦の中で「最も強い言葉で自国防衛の姿勢を示した」と報じた。
また、中国の王毅(ワン・イー)外相も、「日本がレッドラインを越えた」として、早急な反省を求めた。中国外務省によると、ワン氏は19~22日にキルギスなどを訪問し、外相戦略対話を終えた後の中国メディアのインタビューで、今年が日本の第2次世界大戦敗戦80周年に当たることに言及。「日本は軍国主義の戦争犯罪を反省すべきであり、台湾問題や歴史問題において規範を守り、言動を慎むべきだ」と述べたという。
これに対し、小林麻紀外務省報道官は、G20首脳会議が開かれた南アフリカ・ヨハネスブルクで記者団に対し、「中国側の主張はまったく根拠がなく、到底受け入れられない。政府として引き続き明確に反論し、立場を示していく」と反発した。
一方、政府は来年1月に国内で日中韓首脳会談を開催する案を中国と韓国に打診したが、中国側は参加を拒否したと、『共同通信』が22日、複数の関係者の話として報じた。中国側は「高市首相が適切な対応を取っていないため、会談に応じることはできない」との意向を外交ルートを通じて伝えたという。
23日に閉幕したG20首脳会議でも、日中間の冷え込んだ関係は解消されなかった。中国側は事前に、高市首相と李強(リー・チャン)国務院総理との首脳会談は行わないと表明しており、集合写真撮影でも両者は一定の間隔を空けて立つなど、緊張が改めて浮き彫りとなった。














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