
イタリア空軍が、約5年ぶりに確認されたロシアの希少機を対象に接近飛行を実施したことが明らかになった。
航空専門サイト『ザ・アビエーショニスト(The Aviationist)』は23日(現地時間)、「ロシアの特異なTu-134A-4『ブラックパール』がバルト海上空で確認された」と報じた。
北大西洋条約機構(NATO)空軍司令部がSNSに公開した映像と写真によると、ロシアが開発した多用途戦闘機「Su-30SM2」2機と、偵察型戦闘爆撃機「Su-24MR」に加え、ツポレフ「Tu-134A-4」(または「Tu-134UBL」)が編隊を組んで飛行している様子が確認された。
NATO空軍司令部は「先週、イタリアの戦闘機がエストニアに展開され、ロシア軍の複数の航空資産を迎撃するため緊急発進した」と説明し、「Tu-134A-4」について言及した。
この機体が特に注目されたのは、バルト海上空で「Tu-134A-4」が確認されたのが実に5年ぶりであるためとみられる。
同司令部によると、同海域での「Tu-134A-4」の空中迎撃は2020年以降で2例目となる。

「Tu-134A-4」は、1960年代に開発された中・短距離用ジェット旅客機「Tu-134」シリーズの改良型で、主に高速旅客輸送を目的とする。ただし、ロシア海軍などでは特殊任務にも投入されてきた。また、ロシア軍は「Tu-160」と「Tu-22M3」戦略爆撃機のパイロット訓練用としても使用してきた。
NATOコードネーム「クラスティ-B」で知られるこの機体は、「ブラックパール」という愛称でも知られ、黒色の塗装とロシア国旗模様をあしらった外観に由来する。
ロシア空軍および防衛産業の専門家であるガイ・プロフスキー氏は同サイトに、「当該機はTu-134A-4で間違いない。後続の2機はロシア海軍航空隊のSu-30SM2で、武装していないように見える」と述べた。
同メディアは「この機体はロシアのカリーニングラード近郊を出発、あるいは到着する任務に就いていた可能性がある」とし、「同地はロシア・バルト艦隊の拠点であり、高位指揮官が搭乗していた可能性もある」と分析した。
さらに、「ブラックパールがバルト海上空に出現するのは極めて稀」とし、「これまで同地域で迎撃されたのはTu-95ベア、スホーイSu-35S、Su-27、イリューシンIl-20クート(SIGINT/信号情報収集機)などに限られていた」と指摘した。
同メディアは「5年ぶりに出現したブラックパールは、NATOの防空任務中に確認された重要な軍用航空機の動きとして評価される」とも付け加えた。
欧州で相次ぐ正体不明ドローン出没 緊張高まる
一方、欧州各地では正体不明のドローンの出没が相次ぎ、緊張が高まっている。
今月9日には、ベルギーの港湾都市アントウェルペン近郊の原子力発電所上空に未確認のドローンが出現し、約1時間にわたり飛行した後、姿を消した。発電所の運用に支障はなかったという。
同日、このドローンは欧州有数の貨物空港であるリエージュ空港上空にも現れ、当局は約1時間にわたり空港の運営を停止した。
EU本部が所在するベルギーでは、先月末から軍基地や首都ブリュッセルの国際空港など主要インフラ周辺でドローンの出没が相次いでおり、これを受け、イギリスは軍事専門家と装備をベルギーに派遣した。

さらに2日後の11日には、フランスの軍事施設周辺でもドローン飛行が相次いで確認され、当局が捜査に乗り出している。
9月末には北東部ムルメロン=ル=グラン基地でもドローンが確認され、警戒態勢が引き上げられた。同基地には仏軍第501機甲連隊が駐留しており、ウクライナ軍の訓練も行われている。
欧州各国は、ドローンの背後にロシアの関与がある可能性を疑っている。フランスにはウクライナ軍の訓練基地が存在し、ベルギーにはロシアの凍結資産数十億ユーロ(約千億円)が保管されている中央証券保管機関「ユーロクリア」がある。
ただしロシア側は、欧州でのドローン出没との関連性を否定している。














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