世界最悪の航空会社、それでも志望者殺到の謎

最近、国際航空コミュニティでは高麗航空をめぐる衝撃的な内部事情が再び話題になっている。世界最悪の航空会社という汚名を5年連続で被っているにもかかわらず、北朝鮮国内では乗務員志望者が殺到するというこの奇妙な現象が、海外専門家の関心を集めている。表向きは華やかな制服と端正な美貌が強調されるが、その裏には想像を超える環境と危険が潜んでいた。
高麗航空は北朝鮮で唯一開かれた空の道である。そのため女性たちの間で乗務員は「憧れの職業」として知られている。しかし誰でも応募できる仕組みではない。海外亡命を防ぐため、出身成分が最も高い高位層の子女だけを採用すると伝えられている。つまり、基本条件からしてA級血統でなければ入社の門を開くことができない。容姿と外国語能力まで通過しなければならない厳しい第一関門もある。結局、現実は美貌と能力ではなく政治的背景がすべてを分けてしまうわけだ。

問題は、そうして選抜された乗務員たちが直面する実際の勤務環境である。まず機内で水が漏れて乗客の頭に落ちるのは、基本的な「日常事故」のように扱われる。飛行機の欠航も日常茶飯事で、機体老朽化による不満は全世界の人々の共通体験となった。正常な航空会社なら2〜3カ月ごとに交換するタイヤを、高麗航空は2〜3年も使い続ける。すり減ったゴムが光るほどで、着陸の衝撃がどれほど深刻かは搭乗客のレビューを見るだけで十分だ。

高麗航空の主力路線は週3便運航する北京行きである。ところが中国当局ですら「機種老朽化、操縦士熟練度不足、タイヤ破裂危険、衝突防止装置教育不十分」を理由に罰点4点を付与したことがある。これはつまり、中国ももはやかばいきれないという意味だ。世界で最も閉鎖的な国家の航空会社が、規制の厳しい中国からすら危険評価を受けたのである。

それでも北朝鮮の乗務員たちは、福利厚生が一切ないこの航空機に毎日のように乗らなければならない。国外亡命を懸念して配置された高位層の子女たちだが、実際の勤務環境は「安全とは程遠い空の労働」に近い。華やかな制服の下には、いつどこで事故が起きるか分からないという不安、劣悪な装備の中で耐えなければならない緊張感が存在している。外部では美女乗務員のイメージが強調されるが、実際の彼女たちは世界で最も不安な飛行機を毎日行き来する鋼の心臓を持つ労働者だったのだ。














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