
ドナルド・トランプ米大統領が、感謝祭前日のホワイトハウス近くで発生した州兵部隊に対する銃撃事件を受け、連日強硬な発言を繰り返し、姿勢を一段と強めている。銃撃犯の出身国であるアフガニスタンなど19カ国からの移民受け入れを全面停止すると表明したほか、ジョー・バイデン前大統領時代にオートペン(自動署名機)で署名された行政文書の効力をすべて無効にすると主張するなど、従来以上に過激な方針を打ち出している。米国憲法が禁じる「3選」についても再び可能性を示唆した。今回の事件を機に反移民感情を刺激し、支持層の結集を狙う意図があるとの見方が出ている。
トランプ大統領は28日(現地時間)、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に移民・国籍法212条の文言をそのまま掲載した。同条は「大統領が外国人の米国入国が有害であると判断した場合、布告により移民・非移民の入国を停止したり、制限を課したりできる」と規定している。トランプ氏は銃撃事件後、「第3世界からの移住を永続的に停止する」と発言して波紋を広げていたが、その正当性をアピールする狙いがあるとみられる。トランプ氏が指す「第3世界の国」には、アフガニスタンのほか、イラン、ソマリア、ベネズエラ、ミャンマーなど、渡航制限が課されている「高リスク国」が含まれると、米移民当局は説明している。
さらにトランプ大統領は、「眠そうなジョー・バイデンがオートペンで署名したすべての文書(全体の約92%)はもはや効力がない」と主張した。銃撃犯がバイデン政権下の2021年に米国に入国した事実を挙げ、責任はバイデン政権にあると非難してきたが、論点をオートペン署名問題にまで拡大した格好だ。トランプ氏は、高齢のバイデン前大統領が在任中に認知機能の低下を抱え、側近がオートペンで代わりに署名していたとの疑惑を繰り返し提起している。ホワイトハウスに歴代大統領を記念する展示スペースを設けた際には、バイデン氏の肖像画の代わりにオートペンの写真を掲げたこともある。
同時にトランプ氏は、自身が「TRUMP 2028, YES」と書かれたプラカードを手にしている合成画像も投稿した。米国憲法修正第22条は、「大統領に2回以上当選することを認めない」と定めているため、トランプ氏は2028年大統領選に出馬する資格を持たない。それにもかかわらずこうした画像を掲載した背景には、来年の中間選挙を前に早期のレームダック化(求心力低下)を防ぐ思惑があるとの分析が出ている。英紙『ガーディアン』は、「トランプ大統領が3選発言を繰り返すのは、次期大統領選に出馬できないとしても、選挙戦の中心人物として影響力を維持し得ることを示唆している」と指摘した。













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