
英紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』は、中国の主要ドローン部品メーカーがロシア最大のドローン製造企業の株式を取得し、両国の軍事協力が一段と密接になっていると報じた。
『FT』が9月のロシア企業の開示資料を確認したところ、中国・深圳(シェンチェン)に拠点を置く「深圳・明華鑫(ミンフアシン)」のオーナー、ワン・ディンホワ氏が、ロシアのドローンメーカー「ルスタクト」の株式5%を新たに取得したことが判明した。
ルスタクトは、ウクライナ戦争でロシア軍が多用している一人称視点(FPV)ドローン「VT-40」の主要製造企業で、ウクライナと欧州連合(EU)の制裁対象となっている。同社はロシア国内の「審判の日(Judgment Day)」と呼ばれる軍事プロジェクトに関与し、ウクライナでの戦闘に向けた無人航空機の供給や操縦者育成を担ってきた。
ウクライナのシンクタンク「国防改革センター」によると、2023年7月から2025年2月までの期間で、ロシアがFPVドローン部品を最も多く輸入した相手先企業でもあるという。
明華鑫は以前からルスタクトおよび関連企業にドローン部品を供給しており、密接な協力関係にあった。同社は2023年半ば以降、ルスタクトに3億4,000万ドル(約530億円)相当の部品を、関連会社の「サンテックス・プラント」には1億7,000万ドル(約260億円)相当の部品を出荷していたことが明らかになっている。
国防改革センターの関係者は、「ロシアはFPVドローンを産業規模で運用し始めている」とし、「1日に数千機、1カ月で数万機が生産される見通しだ」と述べた。
また同関係者は、「これらのドローンはルスタクトや他の企業と協力し、『ロシア・ドローン』ネットワークを通じて生産されている」とし、ロシア企業が中国製のモーターや電子機器に強く依存していると指摘した。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のドローン専門家サミュエル・ベンデット氏も、ロシアと中国の軍産複合体の協力が拡大している現状や、ロシアの中国製ドローン部品への依存度を踏まえると、今回の協力関係は「合理的な動きだ」と評価した。













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