
Alphabetが「Gemini 3」を公開し好評を得たことで、NVIDIAの市場支配力低下を懸念する声が広がっている。しかし、これはむしろNVIDIAの比重を拡大する好機だとの見方も出ている。ハンファ投資証券によると、Alphabetが独自開発のAIチップ「テンソル・プロセッシング・ユニット(Tensor processing unit・TPU)」のみで訓練したGemini 3を公開し、ChatGPTを上回る性能で注目を集めているという。TPUはNVIDIAのGPUより安価で、電力効率も高いとされる。
MetaがTPUを2027年から自社データセンターに導入することを検討していると述べ、TPUの収益化可能性も浮上している。ハンファ投資証券のイム・ヘイン研究員は「市場参加者がNVIDIAの市場支配力低下を懸念しているが、これは過度な心配だ」と判断した。AI産業はNVIDIAの「CUDAエコシステム」に依存しているため、TPUへの移行コストが高く、Metaの数十億ドル規模のTPU投資は「資本的支出(CAPEX)」のごく一部に過ぎないため、本格的な商用化までには長期的な視点が必要だと分析している。
11月21日、Alphabetの12か月先予想株価収益率(PER)はNVIDIAを上回った。イム研究員は「今後の収益力はNVIDIAの方がより堅調で、Alphabetは短期的な上昇により利益確定売りが出る可能性がある時期だ」とし、「NVIDIAの比重を増やすのに適した時期だ」とアドバイスした。
NVIDIAはGPUの販売だけでなく、開発エコシステムCUDAを通じてロックイン効果を最大化した。世界中のAI開発ツールがCUDAを基に最適化されているため、TPUへの移行には膨大なコストがかかる。Metaのように豊富な資源を持つ一部の企業だけがTPUへの多角化を試みられる背景だと分析している。
イム研究員は「Metaが投資を検討している数十億ドルは、TPUへの本格的な移行を示唆するには微々たる金額だ」とし、「2027年からの導入を議論しているため、増加するCAPEXを考慮すれば比率はさらに低くなる可能性がある」と説明した。
今後の1株当たり純利益(EPS)成長を考慮すると、NVIDIAのバリュエーション魅力が際立つ。NVIDIAのEPSは継続的に前四半期比で成長すると予想されている。コンセンサスによると、約1年後のNVIDIA・EPSは2026年第3四半期比で52%増加するという。
一方、1年後のAlphabet・EPSは最新四半期比で7%成長にとどまるという計算だ。イム研究員は「AI企業の収益性懸念が浮上しており、Alphabetの株価が今年に入って急騰した点を考慮すると、NVIDIAの相対的魅力が高まる可能性がある時期だ」と判断した。
















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