
インド政府がサイバーセキュリティ強化を理由に、新型スマートフォンへの国営アプリ「サンチャル・サティ」の標準搭載をメーカー各社に義務づける方針を示し、波紋を呼んでいる。
ロイター通信によると、インド政府は3日(現地時間)、アップルやサムスン電子、シャオミなど主要スマートフォンメーカーに対し、90日以内に同アプリをプリインストールして出荷するよう非公開で指示した。サンチャル・サティは、盗難された携帯電話の追跡や遠隔での利用停止、不正利用の防止を目的に開発されたアプリだ。
インド通信省は、今回の措置について「サイバー攻撃や不正アクセスといった脅威に対応するためのものだ」と説明している。一方で、野党や市民団体からは「政府による監視強化につながりかねない」として強い懸念の声が上がっている。
第1野党・国民会議派は同日、上院に対し「政府による個人情報侵害とセキュリティリスク」をテーマとした緊急討論の開催を要求した。
国民会議派のランディープ・シン・スルジェワラ議員は、「ユーザーが削除すらできないアプリを義務化するのであれば、その法的根拠を明確にする必要がある」と指摘した。その上で「強制的に搭載されるアプリにバックドア(秘密のアクセス経路)が仕込まれていれば、利用者のデータやプライバシーが深刻な危険にさらされる」と警告した。
ロイターによれば、アップルは現時点でインド政府の指示に応じる考えはなく、懸念を正式に伝える方針だという。














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