両首脳、1対1の非公開会談も予定 国防・貿易などで協力協議

ウラジーミル・プーチン大統領がナレンドラ・モディ首相と国防・貿易分野での協力強化を協議するため、4年ぶりにインドの首都ニューデリーを訪問した。
AFP通信やロシア国営タス通信などによると、プーチン大統領は4日夕(現地時間)、1泊2日の日程でニューデリーを国賓訪問した。インド訪問は、ロシアがウクライナとの戦争を始める直前の2021年12月以来、およそ4年ぶりとなる。
モディ首相はこの日、異例にもニューデリーのパラム空軍基地に自ら出向き、午後7時20分ごろ専用機から降り立ったプーチン大統領を出迎えた。
プーチン大統領はインド入り前、現地メディア「インディア・トゥデイ」TVとのインタビューでモディ首相を「友人」と呼び、親密な関係を強調した。「友人であるモディ首相に会えるのが本当にうれしい。仕事上の関係だけでなく、個人的な絆もある」と述べている。
今回の訪問は、インドがロシア産原油の輸入を続けていることなどを理由に、昨年8月からインド産品の対米輸出に50%の関税が課されている中で行われた。インディア・トゥデイによれば、プーチン大統領はインタビューで「アメリカは今もロシア産(濃縮)ウランを買い続けているのに、なぜインドがロシアから原油を買うのを妨げるのか」と不満を示したという。
ロシアはウクライナ戦争以降、西側の制裁で孤立の危機に直面してきたが、インドがロシア産原油を割安で大量購入してきたことで一定の「生命線」を確保してきたとされる。一方でインドは、年末までの「第1段階」関税協定の締結に向け、アメリカとの協議も加速させており、対米関係と対ロ関係の両立を模索している。

モディ首相は4日夜、プーチン大統領を招いた非公開の夕食会を開く予定で、5日には第23回となる印露首脳会談が行われる。会談後には、両首脳がそろって記者会見し、共同声明を発表する見通しだ。
ロシア大統領府のユーリー・ウシャコフ外交政策担当補佐官は前日のブリーフィングで、「4日夕方にニューデリーに到着するプーチン大統領は、モディ首相公邸で非公式に会談する予定だ。形式は1対1で、非公開で行われる」と説明した。
今回の首脳会談では、国防協力の強化が主要議題の一つになるとみられる。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、自国の最先端地対空ミサイル防衛システム「S-400」の追加供給に向けた協議が重要なテーマになると明らかにした。
インドの現地報道によれば、ロシア側は最新鋭ステルス戦闘機スホイ(Su)57の共同生産をインド側に提案する案も検討しているという。ブルームバーグ通信も、プーチン大統領の国賓訪問に合わせて、インド政府がSu-57戦闘機やS-500地対空ミサイルなどロシア製最新兵器の導入に向けた協議を本格化させる見通しだと伝えた。
国防だけでなく、二国間貿易の拡大も重要な協議テーマである。両国の貿易額は2021年に130億ドル(約2兆158億円)だったが、2022年には690億ドル(約10兆6,994億円)と約5倍に急増した。ロイター通信によると、両国は2030年までに貿易額を1,000億ドル(約15兆5,064億円)規模に引き上げることを目標に掲げている。
ロシア大統領府のマクシム・オレシュキン副長官は、消費財や食品、農産物、医薬品、通信機器などの分野を挙げ、「インド産製品の輸入をさらに増やしたい」と強調した。最近ニューデリーで開かれたビジネス会合では「ロシア代表団と企業関係者は、非常に具体的な目標を持ってインドに来た。インドの商品とサービスの購入を大幅に拡大したい」とも述べている。
インドのピユシュ・ゴヤル商工相も、自動車、電子機器、重機、食品など多様なインド製品の対ロ輸出拡大に意欲を示しており、両国の経済関係は今後さらに深まるとの見方が出ている。














コメント0