
米政治専門メディア「ポリティコ」は8日(現地時間)、EUが提案する凍結中のロシア国有資産を活用したウクライナ支援策への参加要請を、日本政府が拒否したと報じた。同メディアは、日本の判断が「米国の意向をうかがった結果だ」と指摘し、EUによるウクライナ支援の取り組みに冷や水を浴びせる形になったと伝えた。
8日に開かれたG7財務相会合で、EUはベルギーの金融機関ユーロクリアに保管されているロシアの国有資産を担保にウクライナへ資金を貸し出す計画を示し、日本にもその「模範」として参加するよう求めたが、日本は応じなかった。
片山さつき財務相は、法的な課題を理由に約300億ドル(約4兆7,000億円)規模のロシア凍結資産の活用要請には応じられないとの立場を示したと報じられている。
欧州委員会は、18日に予定される首脳会談に先立ち、制裁対象となっているロシア資産約2,100億ユーロ(約38兆円)の活用案について加盟国が合意に達することを目指している。
ただ、ベルギーはロシア側が資金の返還を求めた場合、その全額を負担する事態になりかねないとの懸念から反対の姿勢を取ってきた。さらに、ベルギーは、EU域外のG7加盟国も自国で凍結しているロシア資産を活用し、ウクライナへの貸付に参加すべきだとの条件を提示している。
ウクライナは来年、717億ユーロ(約13兆円)規模の予算不足に直面すると見込まれており、新たな支援が確保できなければ、来年4月以降に公共支出の削減を迫られる可能性がある。
G7財務相は会議後の声明で「ロシアが賠償金を支払うまで、各国の管轄区域で凍結されているロシア国有資産の全額を潜在的に活用する案を含め、ウクライナ支援のために幅広い資金調達の選択肢を引き続き模索する」と表明した。ただし声明には「私たちの行動は各国の法的枠組みに沿ったものでなければならない」との但し書きが付けられた。
この問題をめぐっては、日本の対応が米国の立場と連動しており、米国の意向に逆らうことは難しいとの見方も出ている。
ドナルド・トランプ米大統領はこれまで、凍結されたロシア資産を活用してウラジーミル・プーチン露大統領を交渉の場へ誘い出す意向を示唆してきた。米政府は、押収資産をウクライナ支援に充てる一方で、その一部をロシアに返還し、残りをウクライナ向けの米国投資に振り向ける案を提示しているという。
一方、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は8日、ボロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領との会談で、凍結ロシア資産を活用した支援構想を引き続き支持する考えを示した。
キア・スターマー英首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、フリードリヒ・メルツ独首相も同席したこの日の会合後、フォン・デア・ライエン氏は声明で「私たちの賠償貸付提案の核心は、ロシアが負うべき戦争の代価をさらに重くすることにある」と強調した。
一方、英国やカナダなどG7加盟国は、自国に凍結されているロシア資産を担保としてウクライナに融資するという欧州委員会の提案に前向きな姿勢を示している。














コメント0