
ドナルド・トランプ米大統領が、任期満了の迫るジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長に対し、再び辛辣な言葉を浴びせた。思惑どおりの利下げが進まないことへの不満が背景にあるとみられる。
トランプ大統領は10日(現地時間)、ホワイトハウスの行事の席でFRBが0.25%ポイントの利下げを決めたとの報を受け、「少なくとも倍の利下げが必要だった」と述べ、パウエル議長を激しく批判した。
大統領はFRBを「頑固な連銀(deadhead Fed)」と揶揄し「議長は融通の利かない人物(a stiff)だ」とまで語り、意向どおりに利下げを進めない姿勢への不満を露わにした。
さらに、「われわれが(緊縮的なFRBと)戦っているにもかかわらず、市場金利は下がっている。パウエルでは不十分だ」と述べ「今日の決定は最低でも2倍の利下げであるべきだった」と重ねて批判した。
トランプ大統領はこれまでも利下げを迫り、パウエル議長をしばしば名指しで非難してきた。6月には記者団に対し「われわれには『愚かな人物(stupid person)』がいる。正直に言って彼は利下げをしないだろう」と語り、SNSでは「ジェローム・遅すぎる(too late)・パウエル」と皮肉ったこともある。

パウエル議長はこれまで通り意に介さない姿勢を見せていたが、10日(現地時間)の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見では、トランプ政権の関税政策を正面から批判した。議長は主要な物価指標が上昇している点を指摘し、「これらの数字は、関税の影響で財の価格の上昇率が年初より高まったことを反映している」と述べた。
その一方で、トランプ大統領は同日、パウエル議長の後任候補としてケビン・ウォーシュ元FRB理事と面談する意向を示した。ウォーシュ氏はジョージ・W・ブッシュ元大統領に指名され、2006〜2011年に理事を務めた最年少理事として知られる人物で、トランプ政権1期目でも議長候補に挙がっていた。当時、側近らはウォーシュ氏の起用を強く後押ししていたが、最終的にはトランプ氏がパウエル氏を指名したとされる。
トランプ大統領はその後、思惑どおりに動かないパウエル議長への不満を募らせる一方、ウォーシュ氏を評価するような発言を繰り返してきた。2020年1月の米中「第1段階」貿易合意の署名式では、来賓として出席していたウォーシュ氏に向かい、「あなたと仕事をしていれば非常に満足していただろう。なぜもっと強く手を挙げなかったのか」と声をかけたという。













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