
ドナルド・トランプ米政権が、短期渡航者向けに発給する電子渡航認証(ESTA)制度でも、個人のソーシャルメディア(SNS)記録を審査すると明らかにした。
AP通信などによると、米税関・国境警備局(CBP)はこの日、連邦官報を通じて、ESTA申請者に過去5年分のSNS記録提出を義務付けるなど、入国審査の強化方針を予告した。
審査の強化に伴い、CBPは可能な場合、申請者が過去5年間に使用した個人および業務用の電話番号、過去10年間に使用した個人および業務用のメールアドレスの提出を求める方針だ。また、申請者の家族の氏名、過去5年間の電話番号・生年月日・出生地・居住地、申請者自身の指紋・遺伝子(DNA)・虹彩などの生体情報も求められる可能性があると明記した。
今回の強化策は、年初にトランプ大統領が署名した「国家安全保障または公共の安全を脅かす恐れのある外国人の入国を拒否できる」との行政命令に基づく措置とされる。
国土安全保障省の報道官は、今回の提案が最終決定されたものではなく、申請者がどのような形式でSNSアカウントを提供するかもまだ確定していないと説明した。
ESTAは、発給に数か月かかる査証(ビザ)を別途申請せずに、観光や商用目的で最長90日間の米国入国を認める制度で、米国と査証免除協定を締結した42の国・地域の国民を対象としている。日本も査証免除国に含まれる。
トランプ政権はこれまで、米国内の留学生や永住権・市民権申請者を対象にSNS審査方針を定め、既に運用してきた。今回、短期旅行者・訪問客にまでSNSの「思想検閲」を拡大すると明らかにしたことで、大きな波紋を呼ぶとみられる。
米国務省は今年6月から留学生ビザの審査過程で申請者のSNSアカウントを審査すると発表した。10月には、暗殺された右翼系若手活動家チャーリー・カークを批判する投稿をした外国人少なくとも6人のビザが実際に取り消されたこともあった。
ESTAの審査強化が実際に施行されれば、来年米国で開催される2026年FIFAワールドカップの運営に支障が出るとの指摘も出ている。
これに関連し、トランプ政権の関係者はNBCニュースに対し「ワールドカップのチケット所持者は優先的に入国手続きを進められるが、他の渡航者と同じ要件を満たさなければならない」と述べ、国家安全保障上の理由からワールドカップ観光客にも例外なく適用されるとの見方を示した。













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