
ロシアでは新年を前に、ウラジーミル・プーチン大統領を全面に押し出した「プーチンカレンダー」が今年も登場し、話題になっている。
『ニューヨーク・タイムズ』は、ロシア各地の新聞売り場や書店では年末になると毎年さまざまなバージョンのプーチンカレンダーが販売されていると伝えた。価格は約3.5ドル(約500円)で、学校や郵便局といった公共機関から一般家庭にまで広く浸透した“国民的カレンダー”となっているという。
新年のカレンダーのテーマは「四季を司る男」。各月にはプーチン大統領の写真と、最近の発言を引用した短い文言が添えられている。
1月は、ダウンジャケット姿でスノーモービルに乗る写真とともに「ロシアの国境に終わりはない」という言葉が掲載されている。2月は、柔道で相手を投げる場面に「私はハトだが、とても強い鉄の翼を持っている」という表現が添えられている。
カレンダーにはウクライナ戦争に関する直接的な写真は登場しない。しかし「ロシアは過去2〜3年ではるかに強くなった。真の主権国家になりつつあるからだ」など、戦争を正当化するかのような発言が含まれているという。
以前のカレンダーでよく見られた“上半身裸のマッチョイメージ”は姿を消した。代わりに、ピアノの前で思索にふける姿や、狩猟服を着て「睡眠は少なく、仕事は多く、文句は言うな」と語るシーンなどが収められている。
専門家は、こうしたカレンダーがプーチン大統領の象徴性を強めるプロパガンダの道具だと指摘する。
元アメリカ国家安全保障会議(NSC)ロシア担当上級部長を務めたフィオナ・ヒルは、「プーチンを日常と国家そのものの象徴として際立たせ続ける戦略だ」と分析した。
プーチンカレンダーは、プーチン氏が2000年に初めて大統領に就任して以来、毎年制作されてきた。
特に2011年には、モスクワ大学の女子学生たちが下着姿でプーチンを称賛するカレンダーを制作して人気を集め、これに反発した女性たちが口にテープを貼った“反プーチンカレンダー”で対抗したこともある。













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