米芸術界の反発で「文化戦争」拡大
親トランプ派理事が公演場の名称変更
ケネディ家が抗議、一部公演が中止に

米国を代表する文化芸術施設であるケネディ・センターの名称が「トランプ・ケネディ・センター」に変更されたことを受け、ケネディ家をはじめとする米国の文化芸術界から強い反発が広がり「文化戦争」に発展している。
ドナルド・トランプ米大統領が理事長を務めるケネディ・センター理事会は18日(現地時間)、施設名称の変更を決議した。翌19日にはケネディ・センターの外壁に「ドナルド・トランプ」の名が突如として刻まれた。
ケネディ・センター理事会が親トランプ派の人物で固められたことに対する懸念が強まる中、施設名まで変更されたことで反発は一層激しくなっている。
ケネディ家からは強い言葉が相次いだ。ジョン・F・ケネディ元大統領の姪でロバート・F・ケネディ・ジュニア米保健長官の妹にあたるケリー・ケネディ弁護士は、ケネディ・センターの外壁工事中の写真を自身のSNSに投稿し「今日から(トランプ大統領の残り任期である)3年1か月間、つるはしを持って建物からあの文字を剥がす」と強く非難した。
また、ケネディ元大統領の姪でアーノルド・シュワルツェネッガーの妻としても知られるマリア・シュライバーはSNSで「偉大な人物を称えるため名付けられた記念施設に名前を付け足したからといって、あなたが偉大になるわけではない。いったい何をしようとしているのか」と批判した。
ケネディ元大統領の又甥で元民主党下院議員のジョー・ケネディ3世も声明を発表し「ケネディ・センターは連邦議会が法律で定めた『生きた記念碑』だ」と指摘した。また「リンカーン記念堂の名称を変えられないのと同様、ケネディ・センターの名称も変更できない」として、法的措置の可能性を示唆した。議会の承認を経ず、理事会の決定だけで行われた名称変更や看板設置は違法だとの主張である。
文化芸術界では名称が変更されたケネディ・センターの舞台に立つべきか悩む動きも広がっている。米オンラインメディア・ノータスは「1月に公演を予定していた歌手が出演を取りやめたほか、他の文化人からも怒りや不満の声が上がっている」と報じた。
36人で構成されるケネディ・センター理事会は、設立当初から超党派で運営されてきたが、トランプ大統領が就任後に理事長に就いて以降、民主党系の理事を排除したとされる。これを受け「米国の声」とも称されるソプラノ歌手のルネ・フレミングが芸術顧問を辞任し、ドラマ『グレイズ・アナトミー』の制作で知られるションダ・ライムズも財務理事を退く意向を示すなど、文化界に動揺が広がった。今年5月には、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の出演者の一部が、トランプ大統領の観劇に抗議して出演を拒否する事態も起きている。















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