
ウクライナ戦争に続き、イラン戦争までもが長期化し、欧州でスタグフレーション(高物価の中の景気後退)への懸念が強まっている。
ホルムズ海峡の封鎖によるエネルギーコストの上昇を受け、物価高と景気減速が長期化する可能性が指摘されており、欧州経済を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は8日(現地時間)、イラン戦争が始まってから3カ月以上が経過し、欧州経済への影響が長期化していると報じた。
NYTによると、欧州は2022年に始まったウクライナ戦争によって、すでに大きな経済的打撃を受けていたという。
天然ガス供給の減少によりインフレ率は2桁台まで上昇し、各国はこれを抑制するため大幅な利上げを実施したが、その結果として経済活動の鈍化を招いた。
そうした経済的衝撃からようやく回復の兆しが見え始めた中で、イラン戦争が勃発した。
今回はホルムズ海峡の封鎖が新たな打撃となっている。
エネルギーや原材料輸送の要衝である同海峡の機能が制限されたことで、欧州の物価上昇圧力が高まった。
ユーロを導入する21カ国の5月の平均インフレ率は3.2%となり、2023年9月以来の高水準を記録した。
戦争勃発前の2月には1.9%だったことを踏まえると急激な上昇といえる。
物価上昇を受け、市場では再び利上げ観測が強まっている。
市場関係者の間では、欧州中央銀行(ECB)が11日の理事会で政策金利を0.25ポイント引き上げ、年内にさらに1回の追加利上げに踏み切るとの見方が広がっている。
戦争勃発当初、欧州は急激だが一時的なショックにとどまり、経済はV字回復を遂げるとの期待もあった。
しかし、ホルムズ海峡の封鎖が長引く中、現在では回復に時間を要するU字型の景気回復を見込まざるを得ない状況になっている。
特に経済学者らは、仮にホルムズ海峡が再開されたとしても、原油価格が短期間で大きく下落する可能性は低いとみている。
戦争の影響で減少または停止した原油生産を元の水準に戻すには時間が必要であり、供給不足が続く可能性が高いためだ。
NYTは、エネルギーコスト上昇による財政負担の拡大や投資余力の低下を背景に、少なくとも来年までは物価高と利上げによる景気減速圧力が続くとの見方を示した。
また、欧州委員会も「エネルギーショックの影響は2027年まで続く可能性がある」との見通しを示し、来年の域内成長率は1.4%にとどまると予測している。
英投資銀行バークレイズは、今年の欧州経済成長率見通しを従来予想から半減となる0.7%へ引き下げたほか、来年についても0.9%にとどまると予測した。
バークレイズのチーフエコノミスト、マリアーノ・セナ氏は「短期的な衝撃が長期化している」と指摘し、ペルシャ湾地域でのエネルギー供給の混乱が長引くほど、欧州経済への影響も深刻になるとの見方を示した。
















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