世界最大の資産運用会社ブラックロックが運用する現物ビットコインETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust、IBIT)」が、ヘッジファンド業界の大物投資家たちから大量購入を受け、市場の注目を集めている。

同ETFは米ナスダックに上場されており、暗号資産ビットコインの現物価格に連動する設計となっている。これにより、投資家は暗号資産取引所を介さずに、従来の金融ポートフォリオにビットコインを組み入れられるようになっている。
6日(米国時間)、投資情報サイト「ザ・モトリー・フール」などによると、市場調査会社アライアンス・バーンスタイン(AllianceBernstein)のゴータム・チュガニ氏とスタンダードチャータード(Standard Chartered)のジェフ・ケンドリック氏は、ビットコイン価格が年内に20万ドル(約2,869万円)に達する可能性があるとの見方を示した。
現在の9万5,000ドル(約1,363万円)前後から見れば、110%超の上昇余地があるとみており、IBIT価格もこれに比例して上昇する可能性があると分析している。
こうした強気の見通しの背景には、ドナルド・トランプ政権の関税政策による先行き不透明感や、それに伴うインフレ懸念があるという。

ビットコインは供給量が限定されていることから「デジタルゴールド」と呼ばれ、インフレ対策の手段として注目を集めている。ただし、過去にはインフレ局面でも価格が大幅に下落した例もある。
例えば2022年上半期には、消費者物価指数(CPI)が2%ポイント上昇した一方で、ビットコインは約57%下落している。
それでも、機関投資家を中心とした需要の増加は加速している。昨年1月に米国証券取引委員会(SEC)が現物ビットコインETFを承認して以来、ビットコインは史上最速のペースで機関投資家のポートフォリオに組み込まれている。
資産運用会社Bitwiseの最高投資責任者(CIO)であるマット・ホーガン氏は「直近2四半期で、ビットコインに投資する機関投資家の数はほぼ2倍に増加した」と述べている。
この結果、IBITはビットコインに簡単にアクセスできる金融商品としての地位を固めつつあり、富裕層がポートフォリオの分散化やインフレ対策を図る上で注目する代表的ETFとなっている。
具体的には、ミレニアム・マネジメントを率いるイスラエル・イングランダー氏は昨年第4四半期にIBIT株を630万株追加購入し、保有量を27%増加させた。このETFは同氏のポートフォリオ内で3番目に大きなポジションとなっている。
また、D.E.ショー(D.E. Shaw)のデイビッド・ショー氏は、740万株を購入し、保有比率を345%引き上げたと報告された。ヘッジファンド運営会社のチューダー・インベストメントの創業者ポール・チューダー・ジョーンズ氏も360万株を購入し、保有比率を82%増加させた。現在、同ETFは同氏のポートフォリオで最大の比率を占めているという。
ただし専門家らは、「ビットコインは過去に最も高いリターンを記録した資産の一つであると同時に、最も高いボラティリティを示す資産でもある」と指摘し、投資判断にあたっては慎重な姿勢が求められると続けた。