
日本の金融機関が、高度な専門スキルを備えた「プロ人材」の獲得に本腰を入れている。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、富裕層向けビジネスとデジタル領域で活躍するプロ人材をおよそ2割増やす方針を打ち出した。
21日、『日本経済新聞』は採用競争が熾烈さを増すなか、MUFGが専門家を高報酬で呼び込む戦略を強化していると報じた。
MUFG傘下の三菱UFJ銀行は、富裕層向け事業やデジタル分野で高い知見を持つ人材をプロ人材に位置付け、一般社員とは異なる報酬体系を適用する。職域を越えた異動を強いられず、専門キャリアを一貫して磨ける環境も整えた。
2024年時点で、三菱UFJ銀行や三菱UFJ信託銀行など主要6社が抱えるプロ人材は2164人に達し、3年間で約2.5倍に膨らんだ。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)も、デジタル企画やリースファイナンスなど特定スキルを持つ社員に専門手当を支給している。みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)も、高度な専門性を備えた人材に対し通常より高い報酬テーブルを導入した。
メガバンクの業務は事業再編やM&A、気候変動対応など専門性を要する方向に広がり、プロ人材の確保が競争力の軸になりつつある。
MUFGの2024年度研修費は約90億円で前年から2割増加し、社員1人当たり平均16万円と国内銀行で最高水準に達した。SMFGは2026年1月に年功序列を撤廃する新人事制度を導入予定で、キャリア保証と手当で専門家を囲い込む。みずほFGも2024年から差別化した給与体系を適用し、市場価値に見合う高給を提示する。
投資銀行業務やM&A、債券引受、証券取引などを担当する人材には、入社3年目でも年収1000万円を超えるケースが出ているという。
ただし争奪戦は激しさを増している。2024年に3大メガバンクが掲げた経験者採用計画1200人に対し、実際の採用実績は967人にとどまった。特にITエンジニアは業界を超えて需要が高く、デジタル人材の確保は難航している。
注目の記事