イングランド銀行やIMFなど、金融当局が相次いで警告を発している。AI市場の過熱ぶりが、かつてのドットコムバブルをも上回る損失リスクを招きかねないとの声が高まっている。シリコンバレーの巨大IT企業が、天文学的規模の相互投資によってAI市場を膨張させているが、その循環構造が最終的にバブル崩壊を引き起こす恐れがあると懸念されている。
BBCが13日に報じたところによると、OpenAIは最近、半導体大手エヌビディアと約1,000億ドル(約15兆円)規模の取引を締結した。さらに、エヌビディアの競合であるAMDからも数十億ドル相当の機器を購入する計画を明らかにしている。調査会社ガートナーは、2025年末までに世界のAI関連支出が1兆5,000億ドル(約228兆円)に達するとの見通しを示した。
問題は、こうした取引が複雑に絡み合い、「循環型資金調達」との批判を招いている点にある。供給企業が顧客企業に投資し、その資金で自社製品を購入させる構図だ。結果として、人工的にAI需要が膨らまされている可能性が指摘されている。

一部の専門家は、顧客への金融支援で需要を水増しし、最終的に破綻した通信機器メーカー「ノーテル」の事例を引き合いに出している。これに対し、OpenAIのサム・アルトマンCEOは「前例のない投資であることは確かだが、売上成長率もまた前例がない」と反論した。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも「投資金の使途を我々が強制することはない」と述べ、批判との距離を置いた。
この懸念はシリコンバレーの域を超え、金融界全体にも広がっている。イングランド銀行、IMF、JPモルガンなどがAIバブルの可能性を警告。AI実業家ジェリー・カプラン氏は「ドットコムバブル時よりも損失リスクが遥かに大きく、経済全体が揺らぐ可能性がある」と指摘した。
カプラン氏はバブルの兆候として、「企業による無資本の大規模事業計画の発表」や「スタートアップに殺到する個人投資家の増加」を挙げたうえで、「砂漠に建設される巨大データセンターが、将来的には誰も責任を負わない環境災害になりかねない」と警鐘を鳴らした。
一方で、バブル崩壊が必ずしも破滅を意味するわけではないとの見方もある。かつてドットコムバブル時に通信インフラへの過剰投資が行われた結果、今日のインターネット基盤が形成されたように、現在のAIインフラ投資が未来の革新技術の礎となる可能性もある。
ニュースレター「UncoverAlpha」を運営するリヒャルト・ヤク氏は「エヌビディアは最後の貸し手であり、同時に最大の投資家でもある」と述べ、「今すぐ他社に1,000億ドルを投じられる企業が、ほかにあるだろうか」と語った。
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