
米国とウクライナは、約2か月の中断を経て、米国のウクライナ希土類(レアアース)資源開発参加を認める鉱物協定を締結した。米トランプ政権が鉱物協定締結を機に「ロシアの侵攻」を明確にし、ウクライナへの安全保障支援を約束したことで、ロシアの拒否により停滞していた停戦交渉が進展するかが注目される。
30日、米財務省は声明を通じて鉱物協定の合意を発表し、「今回の経済パートナーシップにより、両国の資産、人材、能力を活用してウクライナの経済回復を加速させるための協力と共同投資が可能になった」と述べた。また、「ロシアの全面侵攻以来、米国民がウクライナ防衛に提供した重要な財政的・物質的支援が認められた」と強調した。これまで停戦交渉を理由にロシアのウクライナ侵攻の認定を避けてきたトランプ政権が、ロシアの侵攻を公式に言及したことになる。
この日の協定に署名したスコット・ベッセント米財務長官は、「持続可能な平和を確保するためのトランプ大統領の不断の努力により、本日、米国とウクライナが米・ウクライナ復興投資基金を設立する画期的な経済パートナーシップ協定の締結を発表できることを喜ばしく思う」と述べた。ベッセント長官とともに協定に署名したウクライナのユリヤ・スヴィリデンコ第一副首相兼経済相は、「この協定はウクライナの安全保障、復興、再建に対する米国の決意を反映している」とし、「本日我々が締結したこの文書は、ウクライナと米国の双方の成功を保証するものだ」と意義を強調した。
協定文はまだ公開されていないが、ロイター通信とワシントン・ポスト(WP)などは、両国がウクライナの希土類などの鉱物資源、石油、ガス、その他の天然資源に関して共同投資関係を構築する内容が含まれていると報じた。また、両国はこれを実現するために議決権を半分ずつ持つ復興投資基金を設立し、その一部はウクライナの再建に投資されるという。特に、米国の将来の軍事支援を今回設立される基金への貢献とみなすことができる内容も含まれているとされる。これにより、ウクライナは自国の天然資源の管理権を維持しつつ、米国からの継続的な軍事支援を受けられるようになった。当初、トランプ政権は天然資源の管理権を米国が持ち、軍事支援も約束しない内容をウクライナに強要していた。
また、協定の最終案には米国の既存の安全保障支援に対する補償や、ウクライナの将来の欧州連合(EU)加盟推進の妨げとなる可能性のある内容は除外されたという。トランプ大統領がバイデン前政権時代から提供された軍事支援までも基金への貢献とみなすべきだと主張していたが、一歩譲歩した形となった。
これに先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が2月末に鉱物協定署名のため米ホワイトハウスを訪問したが、ウクライナの安全保障問題をめぐってトランプ大統領と激論となり、署名式自体が中止されたという経緯がある。その後、フランシスコ教皇の葬儀(4月26日)に出席した両首脳が一対一で会談し、米国側が一部譲歩したことで和解に至った。