中国製品は「コスパ」以外に評価すべき点がない?
初の空中戦で仏製戦闘機を撃墜した中国機
「偽物」と蔑視せず、深い研究が必要
中国製と聞くと、まず「偽物」を連想しがちだ。偽ブランドバッグや偽化粧品など、多くの人の頭の中では中国製と「偽物」がほぼ同義語として扱われる傾向がある。2010年代に入り、中国のIT企業シャオミが世界を席巻しても、せいぜい「大陸の誤算」というニックネームを与えられた程度だった。これは「安かろう悪かろう」で知られる中国製品の品質が意外に良かった時に使う言葉だ。そこには「コストパフォーマンス以外に取り柄がない」という蔑視が込められている。
一方で、米国製や日本製の製品は手放しで賞賛される。中国製品が追いつけないレベルだとも褒め称えられる。ところが最近、我々が全く予想だにしなかった分野で大きな転機が訪れた。
7日、パキスタン軍の戦闘機が宿敵インド軍の戦闘機とカシミール上空で交戦した。パキスタンは中国製の「J-10C」を、インドはフランス製の「ラファール戦闘機」を投入した。インドは昨年公開された愛国主義的な航空アクション映画『Fighter』でパキスタンを圧倒した直後だった。映画では、インド空軍がパキスタンの主導したテロに報復するため国境を越え、パキスタンの戦闘機を撃墜するシーンが描かれている。しかし、現実は映画とは正反対の結果となった。
パキスタンのイスハーク・ダール外相は8日、議会で「J-10C戦闘機が前日、ラファール戦闘機3機を撃墜した」と報告した。この戦闘機は、中国製の「PL-15E」中距離空対空ミサイルを使用している。中国製戦闘機の初の実戦であり、世界の防衛産業界に衝撃を与える大事件となった。フランスの高官もCNNに対し、自国のラファール戦闘機が史上初めて被弾し墜落した事実を認めた。この件により、「中国の躍進」が単なる空言ではないことが世界中に知れ渡った。
2023年5月、中国で映画『ボーン・トゥ・フライ』が大ヒットした。西側諸国の妨害の中、中国の科学者や技術者がステルス機を開発する過程と試験飛行パイロットの苦悩を描いた作品だ。しかし、人気は中国国内だけに留まり、海外では「愛国主義プロパガンダ映画」という冷ややかな反応しか得られなかった。
ところが、2年後の現在、状況は劇的に変化ている。世界で唯一パキスタンだけが導入していたJ-10Cに、他国も注目し始めたのだ。特に、昨年からJ-10Cの導入を検討していたエジプトは、実戦性能を確認したことで、早急に実務交渉に入るとみられている。米国と緊密な関係にあるエジプトが中国製戦闘機を導入すれば、その波紋は想像以上に大きくなる可能性がある。
J-10Cの1機当たりの価格は約94億円で、最新型ラファールの3分の1に過ぎない。価格面だけを見ても、欧州製戦闘機の相手にならないと思われていた。性能も実証されたため、中国が世界の戦闘機市場を制覇するのは時間の問題であると見られている。
象徴的な出来事はこれだけではない。先月、BYDの電気SUV「アット3(ATTO 3)」がテスラのモデルYを抜いて、韓国の輸入電気自動車市場で首位に立った。「中国製」というだけで韓国市場への参入さえ難しいと予想されていたが、初月で543台を販売し、トップの座を獲得したのだ。
欧州でもコスパの良さを評価する消費者からの注文が相次いでいるという。自動車、防衛産業、化学、造船、半導体などほぼすべての製造分野で中国と競争している韓国にとっては、決して喜ばしいニュースではない。さらに中国は、先端半導体の輸入が途絶えた状況下でも、粘り強く技術力の向上を誇示し続けている。ロボット分野に至っては、すでに「中国一強」と言っても過言ではない。
今こそ、中国に対する偏見に満ちた見方を改める時だ。中国を賞賛せよというのではない。客観的な視点で中国を見つめ、深く研究すべき時代が到来したということだ。長らく中国と距離を置いてきただけに、容易なことではない。しかし、「偽物」と安易に蔑視する前に、彼らがどのような技術や市場を狙っているのかを詳細に分析する必要がある。それこそが生き残る方法なのだ。